第4話

 感じるのは、視線。

 どろりと絡みつく目。嘲るような。蔑むような。追いつめるような。

 ひたすらに見られている。逃げても逃げても視線は追ってくる。

 右も左も分からない暗闇の中、やみくもに足を動かした。

 振り向けば、無数の目玉。ギョロギョロと全てが自分を見据えている。

 追ってくる。

 逃げなければ。

 どこに。

 どうやって?


 ズキリと右腕が痛んだ。

 反射的に腕を見る。

 その瞬間、声にならない悲鳴が喉の奥で潰れた。


 じくじくと痛むそこには、無数の、目が――目がこちらを――。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る