第7話 大団円

 大学時代に一度乗り越えたと思った精神疾患ではないかと思ったことであったが、さすがに、人生の3回目ともなると、

「俺は、本当に精神疾患を病んでいるのかも知れない」

 と思い、さすがに、精神内科を訪れるということがしょうがないことだと感じないわけではなかった。

 医者からは、

「うつ病」

 と診断され、医者に通いながら、仕事をしていたが、さすがに、それもうまくいかなくなったことで、仕事を辞めてしまった。

 病院には定期的に通い続けていたのだが、そのうちに、

「実は、双極性障害の疑いがある」

 ということを言われ、再検査ということになったが、やはり、医者の言う通り、

「消極性障害」

 ということであり、

「会社を辞めたのは、正解」

 ということになったのだ、

 しかし、

「入院というところまではないですから、定期的な通院と、投薬は欠かすことなくお願いします」

 というのだ。

「治ったと思う時もあるかも知れませんが、少なくとも、そう思った時は、薬を勝手にやめたりせずに、私のところに来てください」

 ということだったのだ。

「双極性障害」

 というのは、

「脳の病気」

 と言われる。

 だから、

「薬をきちんと飲まないと、どんどん悪化する」

 と言われている病気であった。

 余計に、勝手な判断は禁物で、医者のいう通りにする必要があるので、

「医者というのも、その責任は果てしなく大きい」

 といってもいいだろう。

 それを考えると、

「仕事を辞めた」

 というのは、選択肢としては間違っていなかった。

 さらに、

「子供の頃からの忘れっぽかったり、集中力に欠けていたというのは、この病気が影響していたのではないか?」

 と医者に聞いたが、医者は、明言を避けた。

「そこは何とお言えませんね」

 ということであったが、横川は、

「そう信じて疑わない」

 と思っていたのだった。

 そんな状態において、横川は、会社を辞めたことで、時間だけができてしまった。

「いい会社に入れたんだけどな」

 と周りは、会社を辞めた時に言ったが、

「いい会社って何なんだ?」

 と思った。

 その頃には、まだ、

「パワハラ」

 という言葉はそこまで言われていなかったこともあり、精神疾患というのも、

「働きたくない」

 ということの裏返しでしかない。

 と言われているようなものだった。

 確かにその通りだと思ってしまったことで、自分を責めたりしたが、病気ということで、「自分で自分を納得させることができる」

 ということは言えたのだ。

 そのうちに、

「ハラスメント」

 であったり、それに伴っての、

「コンプライアンス違反」

 というものが、これほど増えてくると、

「横川自身が病気になった」

 という頃、誰が想像できたというのだろうか?

 それを思うと、

「俺もそろそろいろいろ勉強したいな」

 ということで始めたのが、

「近代史の研究」

 であった。

 そんな勉強において、前述のような、

「大東亜戦争」

 を大きなイベントとして、それを挟むような時代背景n勉強をしていると、

「どんどんその深みに嵌っていく」

 ということが感じられるようになってきたのだった。

 それが、

「大日本帝国と、日本国」

 というものであり、果たして、その間にあった、

「大東亜戦争」

 というものが、どのような、

「役割を果たしているのか?」

 と考えるのであった。

 横川は、その発想を頭に持ったまま、ずっと生きてきたという意識を持っていた。

 その日の目覚めでは、

「最近になく、たくさん寝たような気がするな」

 と思って、思い頭を目覚めとしてひっぱっているのだが、目覚めたその場所が、想像もつかない場所であることに、気づいたのだった。

「ここは一体どこなんだ?」

 と感じたが、目の前には、まるで、

「オーシャンビュー」

 であるかのような、ガラス張りであったが、目の前に見えているのは、天井の照明だったのだ。

「ここは一体」

 と考えたが、そこが、

「何かのカプセルだ」

 ということが分かるまでに、どれくらいの時間が掛かったのか、曖昧だった。

 というのも、完全に目が覚めているわけではなかったので、目が覚めるまでの時間が曖昧であるということは分かり切っているのであり、カプセルが次第にゆっくりと開いてくるのが分かった。

「どうやら、自分が目を覚ませば、カプセルが開く仕掛けになっているようだ」

 ということが分かったのだ。

 ちなみに、

「目が覚めるにしたがって、自分がなぜここにいるのか? ということが分かってきている」

 ということに、気づき始めていた。

「そうだ、俺は、確か病気を患っていて、それが、精神疾患が下で、医者から、今の時代の医学ではどうすることもできないと言われ、カプセルに入るかどうかということを選択させられたんだっけ?」

 ということであった、

 ただ、このカプセルというのが、まだまだ、非公開のもので、法律的には、

「完全にアウト」

 だったのだ。

 ということで、

「精神疾患のある人間をターゲットにして」

 ということで、いわゆる

「実験台だった」

 ということだ。

 これは、

「精神疾患を未来に託す」

 ということでも、ある意味、画期的な発想だったのだ。

 しかもm後で聞いた話によると、

「浦島太郎」

 の話というのは、実は昔の話ではなく、この、

「人間タイムカプセル」

 に対しての、半分警鐘のようなものではないか?

 と言われていたのだった。

 だから、この、

「タイムカプセル」

 という発想が、実は、

「奴隷制度」

 であったり、

「生殺与奪の権利」

 ということを、夢の中で感じさせられたということなのだろう。

 ただ、横川にも想像できていないということがあったのだ。

 カプセルを開いて表に出ると、その部屋から、

「脱出することはできない」

 ということであった。

「エマージェンシー」

 という明かりがついていて、そこから出るには、まだ数が月かかるということであった、

 というのは、

「核兵器による放射能」

 によって、死んでしまうかも知れないからということであった。

 しかも、その話を聞いた時、細川は、びっくりさせられたのだが、

「人類初の核兵器の実践使用」

 ということであった。

「果たして、夢で見た、話が本当なのか、それとも、カプセルから出てきて聞いた話が本当なのか、混乱していた」

 ということである、

「ヒロシマ」

「ナガサキ」

 というのは、今起こっていることだということであった。

「西暦2050年」

 まさしく、知っているはずの、歴史から、100年以上が経っているということであったのだった。


                 (  完  )

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記憶の時系列 森本 晃次 @kakku

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