僕が間違えてるんでしょうか

初心なグミ

僕が間違えているんでしょうか


 母さん、僕はこれからどうすれば良いんですか?

 父さん、僕はこれからどうあれば良いんですか?


 明日生きるのにも必死な哀れな僕に

 何にも満たされてない空っぽな僕に

 これ以上何を求めるんですか?


 貴方達は僕に温もりを与えてくれましたか?

 貴方達は僕に拠り所を与えてくれましたか?

 

 僕の身体も心も冷えきって、生きた心地がしないのも

 愛情も友情も知らずに、独りで孤独を喘いでいるのも

 全て貴方達が、僕を見放したからじゃないでしょうか


 親から当たり前の様に愛情を貰っているアイツらが

 僕から当たり前の様に全てを奪っているアイツらが

 幸せそうなのを見ると腹が立つのは何故でしょうか


 僕が間違えているんでしょうか


 人は平等だと戯言を宣う上澄みだらけの馬鹿より

 人が嘆いてるのに動物募金をするクソ偽善者より

 人を嘲笑いながら踏みにじって見下すゴミ共より


 精一杯生きてる僕の方が悪いんでしょうか


 何もかにもが分からなくて

 何もかにもが痛く苦しくて

 何もかにもが僕に厳しくて


 そんな中で独り足掻いた僕は駄目なんでしょうか


 守ってくれる人が

 導いてくれる人が

 支えてくれる人が


 欲しいと願ったこの想いはそんなに可笑しいでしょうか


 僕の問いに答えてくれる人も

 僕の願いに応えてくれる人も

 そんなのが存在しないのは最初から分かってました


 僕に見向きもしなかった、元お父さんお母さん……

 僕で楽しく遊んでくれた、元クラスメイトたち……

 僕を知らずに貶してきた、元同じ人間の皆さん……

 

 どうかお願いします

 皆さん苦しみながら死んでください


 憎嫉してやまない皆さんへ

 今までありがとう

 一生貴方たちを呪って逝きます


 〇年‪✕‬月△日

 

 自殺されたと思われる二十代前半の男性

 この遺書は彼のズボンのポケットの中にあったとされる

 彼がどんな気持ちで自殺したのかは分からない

 

 が、これだけは分かるだろう

 

 人間は公平に命を貰うが

 その価値と重みは一切平等なんかじゃない

 それは先天的なものばかりで

 後天的に得ようとするならば

 人は、誰かに支えて貰う他ないのだ


「とある遺書」と「とある学者の供述」より。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕が間違えてるんでしょうか 初心なグミ @TasogaretaGumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ