女子校生ふたりが、電車で何かしゃべってる
清七るい
ある日の帰り道
「うーん、梨!」
「ぶー!」
「じゃあ洋梨!」
「違いまーす、洋梨だったら梨で正解でしょ」
「だっていじわるだから!」
「よく知ってるねぇ」
「んー、りんご?」
「ちがーう」
「もう、もったいぶらないで教えてよ」
「ふふふ」
「……カップルって大体ああなのかな」
「ああって?」
「こう、語尾に♡がついてるっていうか……」
「ああ確かに、こう甘い感じ?するよね」
「きっと、会社ではあんな甘い顔はしないでしょ? 『ぶー』って、会議では言わないでしょ?」
「うん、だろうね」
「意識的に変えてんのかな、対恋人モードと対仕事相手モード」
「いやー、無意識な気がするなー。うちらだって対先生と対友だちとじゃ話し方変わるじゃん? それと一緒なんじゃない? 知らんけど」
「そっか、確かに! カップルという存在が遠すぎてピンと来てなかったけど、置き換えるとしっくり来た」
「なこちゃんの対恋人顔見たら笑っちゃいそう」
「……ちょっとやってみるわ」
「やってみるんだ」
「なんかぁ、なこ疲れちゃったぁ」
「始まったわ」
「でもぉ、みらんくんと一緒だから楽しくってしょうがないんだっ」
「情緒不安定だね」
「あーあ、今日帰るのいやだなぁ、みらんくんとばいばいしたくないぃ」
「どうせ明日も学校で顔合わせるでしょ」
「……」
「あ、ごめん、もっと彼氏っぽい返しした方がよかったよね」
「カップルの会話分からん」
「ん?」
「カップルが何話すのか分かんなすぎて、これ以上繋げられなかった」
「いやだからそんな会話の内容うちらと変わんないと思うよ? ……知らんけど」
「まぁでもひとつ言えるのは、何味の何を食べてたのか発表してから電車降りてほしかったってこと」
「それは間違いない」
女子校生ふたりが、電車で何かしゃべってる 清七るい @kiyonarui
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます