タクシー乗り場にて

青切

タクシー乗り場にて

 これは、6年前の冬に、実際にあったお話だそうです。

 お話してくださったのは、そうですね、かりにAさんとしておきましょうか。


 Aさんはその日、会社の同僚たちと一緒に、上司の方のマンションに招かれて、お酒を楽しんだそうです。

 飲み会はたいへん盛り上がり、終わったころには午前3時を過ぎていました。

 同僚の中には、上司の家へ泊る者もいましたが、Aさんは枕が変わると眠れないたちでしたし、自宅が近かったこともあって、上司にあいさつをし、マンションから、刺すような寒さの外へ出ました。

 それは、Aさんが、自宅への通り道、人通りと灯りの消えた駅に近づいたときのことでした。

 暗いタクシー乗り場に、その闇よりも黒い、3体の「なにか」がうごめいていました。

 その「なにか」は人の形をしていましたが、人間ではありませんでした。

 Aさんはたいへん酔っていましたが、一瞬で酔いが醒め、急いでその場から立ち去ったそうです。


 翌日の昼、起きようとしてみると、Aさんはひどい吐き気と頭痛に襲われ、立つことができませんでした。

 その現象は、3体の「なにか」に近づいたことによる霊障だったのでしょうか?

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タクシー乗り場にて 青切 @aogiri

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