創憶のティトリトア
あるか 梓妃
第1話
ふとした時に思い出す。
赤く染まった地。 力尽きる人々。 足掻く人々。
天と人。
本来なら敵対すべきではない関係。
天も、人も、それぞれ罪があった。
アヴェリーネ帝国 帝都、パルマッタ ―
国には騎士、兵がある。
二つは主に国防、他国のよからぬ事を考える者、自国のよからぬ事を考える者に対する力だ。
けれど、敵は人だけでない。
大陸に蔓延る魔物といった魔界の勢力。
それらから人を守るのは騎士、兵の役割ではない。
それが『ギルド』。
ギルドはたくさんある。それはもう、たくさん。
大陸にあるギルドはそれぞれ情報を提供し合い、助け合いをする。
それこそ、国なんて関係なく。
けれど、名を馳せるギルドは3つしかない。
『紅葉桜』、『銀の明星』、『海(かい)の北斗』
紅葉なのか桜なのか、そこはさておき『紅葉桜』。
そこには世界最強と謳われる者がいた。
だがその正体はわからない。それこそ紅葉桜のマスターと皇帝くらいだろう。
ただ、これだけは知られている。
その者は女性で銀色のようで紫の髪、金色の瞳、そして戦場に立つ時は絹のようなドレスを着ていると。
ーーーーー
頬を伝う涙。
過去を引きずることはやめたのに、と彼女は呟く。
紅葉桜ギルドの地下、魔法で日の光を再現されたそこは珍しい植物が並ぶ温室だ。
美しい場所であるが彼女以外、誰もいない。
昼寝していた椅子から立ち上がり、気晴らしにと薬草を摘む。
毒のあるそれを。
「ルッタリア、、、毒だと言われて一時期絶滅しかけたのよね。私が保護してなかったらどうなっていたか、、、皆知らないだけで魔人に呪いを掛けられたときの特効薬になるのに、、、」
そとそも、呪いをかけられることはそうそうない。
だが15歳にして大人に負けない経験をしている彼女はいつでも用意周到である。
「ティトリトア、ここにいた」
「っ、、、驚いた。マスターからこっちに来ることはほとんどないのに」
ティトリトアは顔をあげる。
そこには紅葉桜のマスターであるエゼルがいた。
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