花の盗賊たち

第4話 月見草×魔力×貧民区

「小洛洛、家族がどう言おうと、ティンクはもう瓜葉菊の者だ。君たちの家規に従えば、ティンクは君たちの管轄外だろう？それなら、うるさいことを言わずに、吐き気を催すような言葉を少なくしてくれ。」

ヤイロは眉をひそめた後、観覧席に戻った。

この場面にティンクは驚愕した。なぜなら、これまで兄が口をつぐむような人物を見たことがなかったからだ。

「行こう、ティンク。」

コンクナは指を鳴らすと、自分の足元から瓜葉菊の花の紐が彼らの位置から瓜葉菊の観覧席まで伸びた。二人はその花の紐を辿って観覧席に到着し、分類大会は続行された。

次の分類者は貧民区から来た寺也だった。

「どうして彼にも種子があるの？」、「花が咲かないんじゃないか？」。

寺也が前に出ると、周りの人々がこの貧民区出身の黒髪の少年について小声で話し始めた。

「アイラン、あの男の子も有名なの？」

「あまり知らないけど、他の人が言うには、貧民区から来たから偏見を受けているんじゃないかな？」

「まだ時代が進んでいるのに、どうしてそんな差別があるんだろう？変だな……」

平和主義者のエルスはその差別的な行為に驚いていた。

寺也は鉢植えの横に歩み寄り、幹部の新しい魔土を掻き分け、自分の種子を土に埋めた。

土に埋めた後、寺也は目を閉じ、周りの雑音を無視して心を落ち着け、体内に流れる魔力を感じ取った。

一瞬で、土の中から大きな月莧草が生え、身長にしては少し高めの少年と同じくらいの高さになった。

「それは……」、「まさか……」、「ありえない……」

「アイラン、アイラン、アイラン。」

この光景にエルスはほぼ眠りかけていたが、急に目を覚ました。

「どうしたの？」

「この花、すごい感じがするよ！」

「これは月莧草だ。月莧草の花言葉は『魔力』で、月莧草の人々は強力な魔力の才能を持っているんだ。才能に貴族も貧民も関係ないんだよ！」

アイランは微笑んで答えた。

実は、子供の頃から自分が誰なのか全く分からなかった。ただ、周囲の大人たちはずっと私をメイヤ家のエリートの息子として呼んでいた。そのような環境で、私は次第に「自分」を忘れていった。

このような高圧的な環境下で、私は必死に自分を証明しようとし、親の愛情を得ようとした。環境が歪んでいるとは感じつつも、親の愛を失うのが怖かった。その歪んだ環境が私に「影」を作り出した。

「ティンク、今回の分類大会ではしっかりとした結果を出してね。木蘭花の幹部たちが君の参加を楽しみにしているんだ。失望させないでほしい。」

「わかった、父さん。」

機械的に応えるこのようなプレッシャーのかかる言葉は、私の日常になっていた。

『とにかく、僕がしっかりやれば、君たちは黙るだろう！』

私は心の中でそう思っていた。表面上はそう言いつつも、心の中では失望させるのが怖かった。もし木蘭花でなかったらどうしよう？

なぜか家族全員が瓜葉菊を嫌っている。詳細な理由は分からないが、家族には一人の兄が瓜葉菊に選ばれてから家族との関係を断絶したと聞いた。

それってどういうことだろう？悪いことをしたわけではないのに、ただ自分の魂が瓜葉菊を選んだだけで。

そんなことを考えても、父にそれを言うことはできなかった。なぜなら、家族が最も重視するのは優秀な血筋と木蘭花の継承だからだ。

『この家は病的じゃないの？』

突然、頭の中にこの言葉が浮かんだ。正しいと分かっていても、私は自分が嫌いなことを強制される。

いつの間にか机の上に現れた種子を持って、前方の地図で指示されたバーを見つめた。そこでは楽しそうに笑っている人たちがいた。

『羨ましい……』

あの声が再び心に現れた。

「父さんはここが好きじゃないだろうな。だって、父さんは他人が楽しそうにしているのを嫌がるから。」

私は不安な気持ちでバーの中に入り、その後、優しい顔をしたおじいさんに分類大会に通じる秘密の道へ案内された。

分類大会の待機所に入ると、周囲の目が私を見つめていた。その視線がとても嫌だった。彼らは私を羨ましそうに見ており、私を不快にさせた。

彼らは言っていた。「あれはメイヤ家の三男じゃないか？」「彼は木蘭花に決まっているに違いない、なぜまだ測定に来たの？」「彼と話してみなよ、もしかしたら木蘭花に入れるかもしれない。」

こうした言葉は嫌だった。私が木蘭花に入ることを望んでいると思われているのが嫌だったし、結果も分からないうちに決めつけられるのも腹立たしい。しかし、他に選択肢がないように感じた。もし他の花に選ばれたら、あの神秘的な兄のように家から追い出されるのではないかと恐れていた。

それに、木蘭花の第四弁である二哥は今年、分類大会の木蘭花の証人を務めている。私は彼を誇りに思わせなければならない。