花の盗賊たち

第3話 第四弁×彼の救済×瓜葉菊

「ありえない……これは絶対にどこかで間違っている！」

ティンクは絶望的に叫んだ。

「おーい、下の若者たち！」

その時、皆が顔を上げた。

会場の上には10の観覧席があり、それぞれの席に異なる花の幹部、つまり「花弁」が立っていた。

話しかけてきたのは、瓜葉菊の第四弁、コンクナだった。

コンクナは武士のような髪型をしており、淡いピンク色のマントを着ていて、マントの背中には瓜葉菊の図案が描かれていた。彼の顔には輝くような笑顔が浮かび、瓜葉菊に選ばれたティンクを見つめていた。

「いやだ！いやだ！私は木蘭花に属しているんだ、木蘭花の血が流れているんだ！」

ティンクは崩壊しながら目の前の状況を否定した。

「そのようなことを言われると困るんだ。なぜなら、鉢植えには間違いがないからだ。私たちの代表に選ばれるのは……あなたの心が喜びを渇望しているからだ。」

コンクナは困惑した表情を浮かべ、感情が不安定なティンクに説明した。

「喜びを渇望している？そんな愚かな発言を……私はこれから木蘭花の花弁になる『継承花』になる予定なのに！」

ティンクは再び崩壊して叫んだ。

「それは単に自分を強制的にそう思わせているだけだろう？君は環境によって歪んだ考えを植え付けられた。自分の魂の感情を尋ねたことはあるか？自分を抑え込むのはやめなさい。私たちは君を救いに来たんだ、少年。」

コンクナは観覧席から飛び降り、崩壊寸前のティンクを支えようとした。

ティンクはコンクナを見つめ、まるで救われたかのような温かさを感じた。

小さい頃から優秀でなければならないという考えを植え付けられ、彼の心は次第に歪んでいった。

コンクナの手を取ろうとしたその瞬間、突然、男性の声が割り込んできた。

「なんて醜い……せめてお前もメイヤ家の一員なんだから、なぜ半端な花に選ばれた？」

その声を発したのはティンクの兄、ヤイロだった。

ティンクの顔は瞬時に灰白色になった。

コンクナはティンクの兄を見て、少し眉をひそめたが、すぐに笑顔を取り戻した。

「おや、これは小ヤロヤロじゃないか～君が新しいメンバーの兄だったんだね。偶然だね。」

「偉そうに装うな……半端な第四弁。」

「相変わらず冷酷だね！本当にカッコイイよ。」

ヤイロは白い目をし、明らかにコンクナの甘い言葉に感動していない様子だった。

ティンクは困惑の表情を浮かべた。なぜなら、兄は自分より弱い人と話すことは決してなかったからだ。この兄の言う半端な第四弁が、兄よりも強いのだろうかと考えた。

ティンクは兄が殺気立った目で自分を見つめていることに気づいた。

その無形の圧力はティンクを吐き気がするほどに苦しめ、彼は精英家族と呼ばれるメイヤ家の人々とどう向き合うべきか分からなかった。

「どうしよう、どうしよう……私は終わった。」

ティンクはうつむきながら、小さな声で言った。

「頭を上げなさい！君、今は私の管理下にあるんだ。何が本当の幸せか教えてあげるよ！」

ティンクは涙を浮かべながらコンクナを見つめた。初めて他人からこのような言葉を聞き、心の底から湧き上がる奇妙な喜びを感じたが、その感情が何なのかはわからなかった。

「ちょっと待って、どうして急に感動的なシーンが始まったんだ？私まで泣きそうだよ！」

「今のところ、私たちが台詞を言う番ではないと思うよ、バカ。」

エルスとアイランという無神経な二人組がこんな場面で話しているため、一部の青少年が彼らを睨んでいた。