異世界転生かと思ったら、ファンタジーな地球でした

第1話 目覚め

 目が開く、音が聞こえる、手足が動く、そんな当たり前の事がとても不思議だった。



「俺は、死んだはずじゃ……」



 そう、あの朝確かに死んだはずだ。夢にしては痛みや感覚がリアルで生々しすぎた。あれは確かに現実だったはずなんだ。

 混乱する頭をどうにか起動し、状況を確かめる。



「5年前か……」



 カレンダーの西暦はそう表していた。たしかに、5年前住んでいたアパートにいる。

姿見で確認してみると大学生くらいの俺が写し出される。

 タイムリープ、転生、そんなファンタジーのような事象を想像してしまう。



「はたまた、まだ夢でも見てるのかね……」



 取り敢えず顔を洗いリビングに向かった。ソファに腰を掛け、何故かつけっぱのテレビを見ていると、目を見張るような物が飛び込んできた。

 

 地球にいるはずのない怪物がうろついていた。説明するのならば、ファンタジー漫画に出てくるようなゴブリンのようなものだ。

 意味の分からないことなのに、ニュースキャスターは慌てることもなく、当たり前のことのように淡々と話していく。


 状況が更にこんがらがってきたが、一転して落ち着きを取り戻してきた。確かにここは俺の家で、俺は俺で、外に出れば知っている景色が流れ込んでくる

 しかし、直感的に気付いたことがある。ここは俺の知っている地球ではない。



 曖昧ではあるが結論は出たのでこの世界について調べることにしよう。


 小一時間パソコンとにらめっこしてわかった情報を頭のなかで整理する。


 最初に、この世界にはスキル、ダンジョン、モンスター、レベルといったファンタジー要素がもりもりなのである。ダンジョンにはいれば鎧に身をまとい闘うものもいるらしい。

 かといって文明が遅れているわけでなく、前世と同程度はあり、違う点はモンスターがドロップする魔石がエネルギー源となっていることだ。


 歴史としては、ダンジョンが現れたのはここ百数十年ほど前で、割りと最近らしい。ダンジョンの出現と同時に、モンスターに対抗するためのスキルが発現し、ステータスボードなるものをだせるようになったという スキルはダンジョン内でしか使えず、ダンジョンの外でも引き継がれるのはレベルアップによる身体能力の上昇だけらしい。


 これを見るとちょっと中二病がすぎるが、現実に起きたことだと考えると乾いた笑いしか出ない。


 最後に冒険者と言われる職業だ。ダンジョンに入りモンスターをたおしドロップするアイテムを換金して生計を建てる人達らしい。

 ドロップするアイテムはとても面白く、必ず落とす魔石に加え、モンスター固有ドロップやレアドロップがあり、装備や装飾品から、野菜や肉など幅広い。物によっては一つで桁がとんでもないことになるらしい。

 18歳以上の人は誰でも入れるため、副業として冒険者をやり一攫千金を狙う人も多いとのことだ。最近ではダンジョン配信者とやらが人気らしい。


 これだけ聞くとゲームみたいでとても面白そうだが、ダンジョン内で死ぬ人は多い。実力に見合ったダンジョンに行けば死ぬことは少ないらしいけど……。


 まだこの世界については知らないことは多いが、少しワクワクしてきた。とりあえず外に出るとしようかね。

 おっと、その前にステータスボードを見とこうかな。



「ステータスオープン」


―ステータス―

【レベル】1

【スキル】空間魔法



 正直これが良いのか悪いのか分からない。

スキルは稀に複数持つ者や前例のないスキルを持つ者がいる。まぁ、みんな違ってみんないいってことだ。

 基本的にスキルは個人情報として扱われるため、あまり公表しないので、どのようなスキルかあるかは現在でもほんの少ししか分かっていないらしい。



 切り替えて、スマホで近くの簡単なダンジョンを探しそこに向かうことにした。







 










 

 



 

 


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