第14話 エピローグ

 葛城烈が事件現場を離れた後、古びた邸宅の前には静寂が戻っていた。美咲と藤堂も、それぞれの考えに沈みながら現場を後にしようとしていたが、その時、異様な冷気が辺りを包んだ。


 突然、邸宅の裏庭から奇妙な音が聞こえてきた。何かが地面を引きずるような音だ。藤堂がその音に気づき、慎重にその方向へ歩み寄ると、闇の中から血まみれの姿が浮かび上がってきた。


「…これは…!」藤堂は息を飲んだ。目の前には、血まみれの怨霊が立っていた。その姿は明らかに人間のものではなく、まるで凄惨な暴力を受けて死んだ者の怨念そのものが具現化したかのようだった。血怨霊の目は暗闇の中で赤く輝き、その全身からは新鮮な血が滴り落ちていた。


「美咲、ここから離れろ!」藤堂は警戒心を強めながら美咲に叫んだ。しかし、美咲はその場から動こうとしなかった。彼女の目は怨霊を捉えたまま、怯えることなくただ立ち尽くしていた。


 血怨霊は徐々に二人に近づき、その恐ろしい姿で恐怖心を煽ろうとしていた。藤堂は拳銃を取り出し、怨霊に向けたが、その時、血怨霊は凄まじい叫び声を上げ、辺りの空気が震えた。藤堂の足が凍りついたように動かなくなり、全身に冷たい汗が流れた。


「これは…ただの幽霊じゃない…」藤堂は呟いた。彼は霊に関する知識はほとんどなかったが、この存在がただの霊的存在ではないことを直感的に理解した。


 その瞬間、怨霊は襲いかかろうとしたが、美咲が突然、ポケットから取り出した小さな容器を開け、中から白い粉を地面に撒いた。


「これは…!」藤堂は驚いたが、怨霊はその粉を目にすると、恐ろしいほどの怒りを爆発させた。彼女の顔がさらに醜悪に歪み、血の滴りが増していった。しかし、次の瞬間、怨霊の動きが鈍くなり、その身体がゆっくりと崩れ始めた。


「これは、血の跡を清めるための儀式の一部よ…」美咲は低い声で呟いた。「暴力的な行為を墓前で行ったことで、彼女の怨念が具現化した。でも、彼女の力はこれで封じることができる。」


 藤堂は驚愕しながらも、彼女の言葉に従い、さらに地面に粉を撒く手伝いをした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

墓参りゲーム 鷹山トシキ @1982

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る