第13話 葛城烈の事件簿

### **『墓参りゲームの謎』**


#### **第一章: 事件の発端**


 静かな町、霧ヶ峰で、夜の静けさを破るように悲鳴が響いた。地元の墓地で発見された遺体は、まるで墓参りゲームのプレイボードの一部のように、整然と配置された花や供物の間に倒れていた。遺体には、血で書かれた謎めいたメッセージとともに、古びた紙の地図が残されていた。


 警察は直ちに探偵葛城烈を呼び寄せた。葛城は、特異な事件を解決することで知られる名探偵であり、静かに現場に到着した。


 警察の調べにより被害者は津田崇裕というゲーム喫茶のマスターであることが明らかになった。


#### **第二章: 謎めいた手がかり**


 現場で葛城は、遺体とともに発見された地図をじっと見つめた。その地図は墓地内の特定の地点を示しており、地図には「次はどこ?」というメッセージが書かれていた。


 地図を調べると、各地点には特定の墓が描かれており、これが「墓参りゲーム」の進行ルートのように見えた。葛城は、遺族や近隣住民から話を聞き、犠牲者の過去を調査することに決めた。


#### **第三章: ゲームのルールと動機**


 調査を進めるうちに、葛城は「墓参りゲーム」というのが地元の伝統的な遊びであることを知る。このゲームは、特定の墓を訪れることで点数を稼ぐもので、地元では年に一度行われる祭りの一部だった。しかし、今回の事件はそのゲームを模しているに過ぎないということがわかった。


 葛城は、犠牲者たちがこのゲームに関連する人物であったことを突き止める。彼らはゲームの関係者であり、ゲームの背後には誰かが深い恨みを抱いていることがわかった。


#### **第四章: 手がかりの解明**


 次のターゲットがどこにいるのかを突き止めるため、葛城はゲームの手法に従い、地図の指示する場所を一つずつ調査した。各場所には、犠牲者たちの個人的なアイテムや手紙が隠されており、それらの手がかりが犯人の動機に繋がっていた。


 最終的に、葛城はすべての手がかりを繋ぎ合わせ、犯人がかつてのゲーム仲間であることを突き止める。その人物は、ゲーム中のルールで不正を行い、恥をかかされた結果、深い憎しみを抱くようになった。


#### **第五章: 三つ巴

 葛城烈は、連続殺人事件の犯人が次に狙う場所を慎重に予測していた。彼は、犯人の行動パターンを徹底的に分析し、次のターゲットが高確率で都会の閑静な住宅街にある古びた邸宅だと睨んでいた。犯人が過去に犯行を行った場所から導き出した結論だった。


 「次はここだ…間違いない」葛城は地図を指差しながら自信満々に呟いた。その指先には、まるで影に覆われたような、幽霊が出ると噂される古い邸宅が示されていた。


 その夜、葛城は部下たちにその邸宅の周囲を包囲させ、念入りに警戒を強めた。しかし、彼にはもう一つ考えるべきことがあった。彼のライバルであり、同じ事件を追う藤堂昇もまた、犯人を追っていたのだ。二人の刑事の間には長年にわたる競争心があり、それは決して友好的なものではなかった。藤堂が事件に関与してくることは、葛城にとって悩みの種だった。


「藤堂が邪魔をしなければいいが…」葛城はため息をついた。過去に何度も藤堂との競争が捜査の進展を妨げたことがあったため、心の中では不安が広がっていた。


 その時、彼の携帯電話が鳴った。画面に表示された名前は「美咲」だった。彼の愛人であり、かつては彼の情報源として活躍した女性だ。


「烈、あなたが今どこにいるか知ってるわ。藤堂も同じ場所を狙ってる…彼が来る前に何か手を打つべきよ」美咲の声は少し焦りを含んでいた。彼女は藤堂の動きを知っているらしく、葛城に警告を与えた。


 「わかった、ありがとう、美咲」葛城は短く答えたが、内心では警戒心をさらに強めていた。彼女が藤堂の動きを知っているということは、何かしらの裏があるかもしれないという疑念が湧いてきたからだ。


 その夜、静寂に包まれた邸宅の前で、葛城は犯人が現れる瞬間を待った。藤堂もまた、どこかで同じように待ち構えていることを知っていたが、それでも自分の信じるやり方で事件を解決しようと決意していた。


 突然、邸宅の一角から物音が聞こえた。葛城は瞬時にその方向に目を向け、闇の中から忍び寄る影を捉えた。それは、まさしく犯人だった。彼は拳銃を手に持ち、ゆっくりと邸宅に向かって歩み寄っていた。


 「動くな!」葛城が叫んだ瞬間、犯人は驚いて立ち止まった。だがその時、背後から別の声が響いた。


 「藤堂昇だ。お前もここに来ていたのか、葛城」


 藤堂が現れ、葛城と対峙した。二人の刑事はお互いに睨み合いながらも、犯人を取り押さえるために無言の協力体制に入った。犯人は逃げ場を失い、観念したように手を挙げた。


 「これで終わりだな…」葛城はほっと胸を撫で下ろしたが、その直後、美咲が現場に姿を現した。彼女の表情には安堵と同時に、何か複雑な感情が垣間見えた。


 「美咲、どうしてここに?」葛城は驚いて尋ねた。


 「私がどうしても確認したかったのよ、烈。あなたがどこまでこの事件を追い詰めるかを…」美咲は微笑みながら答えた。


 藤堂もその言葉を聞いて、ふっと苦笑を漏らした。「美咲、あんたはやっぱり策士だな。葛城、今回はあんたの勝ちだ」


 葛城は何も言わず、美咲の顔を見つめた。彼女の真意を探ろうとしたが、彼女はただ穏やかに微笑んでいるだけだった。その微笑の裏に隠された真相は、葛城の心に小さな疑念として残ったが、それでも事件は無事に解決へと向かっていた。


 「犯人は捕まったが、これで全てが終わったわけではない…」葛城は心の中でそう呟きながら、美咲と藤堂に別れを告げ、事件現場を後にした。


 闇の中で、彼の背中に何か重いものがのしかかっているように感じながらも、葛城はその重圧に耐え、次なる任務に向かって歩み続けるのだった。

 


 ### **第六章: 新たな犠牲者と隠された真実**

 霧ヶ峰での恐怖が続く中、新たな犠牲者が発見された。被害者は、地元の商店を営む正木育夫だった。彼の遺体は前の事件と同様に、整然と供物に囲まれ、地図の新たな地点を示すように配置されていた。彼の胸元には、「過去に戻れ」という血で書かれたメッセージが残されていた。


 調査を進める葛城烈は、被害者たちがある過去の事件に深く関わっていたことに気づく。その事件とは、10年前に霧ヶ峰で行われた「墓参りゲーム」の大会で起きた不正行為と、それにより引き起こされた悲劇だった。当時、その大会で一人の若者が不正を行い、仲間たちに厳しく非難された。それが原因で、その若者は自ら命を絶ったのだ。


 その若者の名は、江成正元。彼は、地元の有力者である流山家に奉公していたが、彼の死は長らく忘れ去られていた。今、葛城は流山尚希が何かを隠していると疑い始める。


### **第七章: 流山家の闇**


 流山家の屋敷を訪れた葛城は、尚希と対面する。尚希は、冷静な表情を保ちながらも、何かを隠していることが明らかだった。葛城は尚希に直接質問を投げかけ、10年前の事件について探りを入れたが、尚希は何も語らなかった。


 一方で、葛城は尚希の妹、流山真里が事件に関わっているのではないかと感じていた。彼女は、江成正元と幼なじみであり、彼が死んだ後、心を閉ざしていた。


 葛城はさらに調査を進め、真里と江成正元の関係を掘り下げた。彼女は、兄の影響で正元に厳しく接していたが、彼の死後、自分の行いを悔やんでいたことが明らかになる。葛城は、真里が今回の事件に何らかの形で関わっている可能性を疑った。


### **第八章: 池田俊介の告白**


 続いて、葛城はかつてのゲーム仲間であり、地元で弁護士を務める池田俊介に接触した。池田は、当時の事件について多くを知っているようだったが、何かに怯えている様子だった。


 葛城は、池田に対して強い圧力をかけ、彼に10年前の事件の詳細を話すよう促した。最終的に池田は口を開き、あの時、正元を罠にはめたのが流山尚希であったことを告白した。尚希は正元に不正を行わせ、彼がゲームから失格するように仕向けたのだ。その結果、正元は自らの命を絶ち、それが現在の一連の事件へと繋がっていた。


### **第九章: 対決**


 すべての手がかりを繋ぎ合わせた葛城は、犯人が再び動く前に行動を起こすことを決意した。次の犠牲者が誰になるかを予測し、警察と協力してその人物を守るための準備を整えた。


 一方、犯人もまた自らの計画を完遂しようと動いていた。犯人は、かつてのゲーム仲間たちに対する復讐のために、最後のターゲットを狙っていた。そのターゲットとは、三石真里だった。彼女は、正元の唯一の理解者だったが、そのことが犯人にとって許しがたいことだった。


 葛城は真里を保護するため、犯人が現れると予測される墓地に彼女を連れて行った。そこで葛城は、犯人を待ち伏せる形で最後の対決に挑む。


### **第十章: 終焉と再生**


 夜の墓地にて、ついに犯人が姿を現した。それは、かつて正元と親しくしていた小西純子だった。彼女は、正元の死に深く傷つき、その復讐心から「墓参りゲーム」を模倣して次々と仲間たちを狙ったのだった。


葛城は純子を説得しようとしたが、彼女の憎しみは深く、彼の言葉は届かなかった。しかし、最後の瞬間、真里が純子の前に立ちはだかり、正元の記憶を汚すことなく、彼のために生きるべきだと涙ながらに訴えた。


純子はその言葉に動揺し、葛城に逮捕されることを選んだ。事件はこれで終わりを迎えたが、霧ヶ峰の町には長らく暗い影を落とすこととなった。


葛城は、すべてが終わった後も、真里のもとを訪れ、彼女の再生の手助けをすることを誓った。そして、彼は新たな事件へと足を向けるのだった。





 

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