第23話 フィニー卿の、フラミンゴス教会徹底解説、いってみよう♪
ますは自己紹介からしようか――。僕はフラミンゴス教会、
今回は、フラミンゴス教会について、よくわかんねーわっていう視聴者諸君のため、改めて教会について徹底解説していくね。
それじゃ、タイトルコール、いっくよぉ!
「フィニー卿の、フラミンゴス教会徹底解説、いってみよう♪」
ちょっと語呂が悪いけど、今回は偉い人からこの動画を配信するよう命じられているから、このまま進めていくね。
まずは、我らがフラミンゴス教会について――。
この世界の宗教を統一して、世界信仰化、これをオプシションというんだけど、この偉業を成し遂げたのが、フラミンゴス教会。それまでこの世界にはいくつもの宗教とそれぞれに神と呼ばれる存在がいたんだけど、それをすべて邪教とし、フラミンゴス教会を唯一の信仰の対象としたんだ。今まで宗教の対立から起きていた戦争やいざこざを止めて、平和な世の中を作り上げたことこそ、世界信仰化の意義はあったと言えるね。
宗教が統一された後、世界の言語や文化も一つになったんだ。これで『違い』を理由とした争い事はなくなり、誰もが同じ思想、同じ理想の下、平和な世界の中で生きる喜びを得ることとなったよ。
次に、フラミンゴス教会の聖職者階級について解説するよ――。
フラミンゴス教会には、四人の教皇様がいらっしゃる。世界を四分割し、東西南北とそれぞれの土地を教皇様が管轄されているよ。「東の教皇」様とか「西の教皇」様とか、みんなも聞いたことがあるでしょう? みんなの前にお姿を現すことは少ないけど、年に一度の祝福祭の時は、庶民の姿で見学されているから、今度また探してみてね。あ、でも、くれぐれも不敬なことをしてはならないよ。たぶん、家族もろとも、一生明るいところには出てこれなくなると思うから。見つけても、そっとしておいてあげてね。
教皇様の下に、僕達五色の枢機卿がいるんだ。この枢機卿というのは、簡単に言えば、教皇様の補佐役。誰がどの教皇様の補佐役というのは決まってはいないのだけど、何となく、ああ僕はこの人の補佐役なんだなって分かるんだ。ちなみに僕は、「西の教皇」様の補佐役をすることが多いかな。
しかし、この枢機卿というのが、これまた厄介な連中でね。悪魔狩りが枢機卿の主な仕事でもあるのだけど、僕以外の枢機卿は、まるで悪魔狩りに精を出していないんだ。ちなみに僕がどれだけ悪魔狩りをしてきたかは、関連動画からチェックしてね。応援してくれたら嬉しいな。あ、でも、安易に悪魔狩りをしてはならないよ。悪魔狩りは特別な力があるからできるのであって、一般人にはまずできないからね。これだけは約束しておくれ。
とまあ、話が逸れてしまったけど、他の枢機卿については、今回は割愛するね。また機会があったら彼らについても解説していくよ。どうしても知りたい人は、第20〜22話を読んでいただければ。うん、なんの話数かは分からないけど、彼らがいかにアホでどうしようもない連中か分かるはずだってことだよ。
教皇、枢機卿ときて、その下には大司教がいるんだ。枢機卿は大司教の中から選ばれるんだけど、普通はここまで出世するのに、30年はかかるかなぁ。出自や能力によっては、20代で大司教、枢機卿となる人も出てくるけど、本当に稀。異例中の異例。そういう人間は大抵ネットでエロ小説書いていたりする変態だよ。その大司教の下に司教がいて、彼らがそれぞれの国を代表する教会を執り仕切っているんだ。そしてその下に司祭がいて、神学校の
では次に、フラミンゴス教会の聖騎士団、『ワーヴェル騎士団』について――。
聖騎士団の主な仕事は、僕達枢機卿と同じ悪魔狩り。とは言え、積極的に討伐に出るのが枢機卿で、悪魔被害に遭っている一般人を救うのが聖騎士団、という棲み分けが一応はあるんだ。
彼ら『ワーヴェル騎士団』の団長は、枢機卿――ヴァン=サリー・レックスマン。そして副団長がアルルカンと呼ばれる男。彼は元はフラミンゴス教会お抱えの道化師だったんだけど、たゆまぬ努力の末、並みいる騎士を抑えて副団長の地位にまで上り詰めたんだ。団長であるヴァンサリーはもうおじいちゃんだけど、アルルカンはキラキラのイケメン。性格はちょっとアレレ? なところもあるんだけど、命がけでみんなのことを守ってくれる彼ら聖騎士団の仕事も、ぜひ応援してほしいな。
次に守護天使について解説するよ――。
フラミンゴス教会には、「五大教典」と呼ばれる教義書があるんだけれど、それぞれに守護天使と呼ばれる教典の守護者がいるんだ。
まずは第5天使・チャランヌ様。『ミズノ書』の守護天使で、基本チャラチャラした天使だよ。
次に第4天使・ユルンヌ様。『ケビン書』の守護天使で、頭のネジが緩めに作られているよ。
次に第3天使・ガリンヌ様。『カサイ書』の守護天使で、将棋崩しがゲロ弱の七三分け天使だよ。
そして第2天使・キボンヌ様。『オタク書』の守護天使で、特有の対象物に対して、並々ならぬ興奮を抱くよ。
……とまあ、四人の守護天使様を紹介したけど、第1天使については、この場では割愛させてもらうね。いろいろな事情があって、今この場で紹介することができないんだ。
では最後に、我らフラミンゴス教会の救世主について解説するよ――。
この世界には未だに闇の部分があって、人々を苦痛から解き放つのが救世主の役目。彼女達は純潔の乙女で、教会が独自に選定しているよ。彼女達の現状については、ここでは多くを語らないでおくよ。本当のことを話すと、人権団体とか愛護団体とかが黙っていないと思うから……。でもきっと、彼女達は教会の上からいつもみんなを見ているはずさ。彼女達の活躍が、きっとこの世界をより良いものに変えていくと信じているよ。
それじゃ、今日のところはここらへんでおしまい。また機会があったら、フラミンゴス教会徹底解説第二弾をやりたいと思っているよ。ではまた、次の動画で会おう♪フラミンゴス教会枢機卿、オリバー・アングレーム・フィニーでしたぁ!
◇◇◇
オリバーの動画が終わり、シークバーを途中まで戻す人差し指。
『――まずは第5天使・チャランヌ様。『ミズノ書』の守護天使で、基本チャラチャラした天使だよ。
次に第4天使・ユルンヌ様。『ケビン書』の守護天使で、頭のネジが緩めに作られているよ。
次に第3天使・ガリンヌ様。『カサイ書』の守護天使で、将棋崩しがゲロ弱の七三分け天使だよ。
そして第2天使・キボンヌ様。『オタク書』の守護天使で、特有の対象物に対して、並々ならぬ興奮を抱くよ』
可憐な少女の人差し指が、もう一度シークバーを戻す。
『まずは第5天使・チャランヌ様――』
オリバーの動画では、自作の守護天使画像がアップされている。
「――うふふ。やっぱり天使様は実在されますのね」
少女は通信機器端末の電源を切ると、惚けるように天井を見上げた。そこはとある国の教会堂であり、五体の守護天使の彫刻が栄光と祝福を表している。
「――♪」
夜更けの教会堂を、少女の讃美歌が包んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます