...鈴風ちゃんも、来てみる...?

♦︎♢♦︎


「えー。先日、市内の川で我が校の生徒が溺れ、亡くなる事故が起こりました。皆さんも水の事故には十分に気をつけるようにしてください。また、追悼の意を込めまして、今から3分間の黙祷を行います。....黙祷。」


その日、臨時の全校集会が行われた。亡くなった子は、私とライトブラウンの髪のその子...水音みおとは面識の無い人だった。いや、もしかしたらすれ違っていたりはしたのかもしれないけど、認識はしていなかった。


「......私もね、川で...溺れた事があるの...」

「えっそうなの?!...水音が生きててくれて良かったよ〜」

「...ありがとう」


眉を下げてふわりと笑う横顔。いつもより、帰り道の夕焼けが水音の顔を照らす。


水音が、不意に私の前に出て、向き合って止まる。逆光で表情が読み取りにくい。


「...ね、本当は...気づいているんでしょう?」

「...え?」

「...この前、そうだなぁ...2ヶ月くらい...前か。私の...これ、...見えてたでしょう?」


水音が空中に手を伸ばすと、あの時と同じように空中に水滴のような物。水音が、風を切るような音と共に消える。あの時と違うのは、すぐにまた現れた事だ。


「...鈴風すずかちゃんも、...来てみる...?」

「...どういう事?」

「来たら...分かるよ?..。」

「...うん。」

元々、水音のこの行動が気になって話しかけたのだ。覚悟を決めてみよう。


水音が、私に左手を差し出して、今までで1番の笑顔を見せる。

私がその手を取ると、水音は、また右手を、空に伸ばして、水に触れた。時間の進みが、遅くなった気がした。


その瞬間。

私は、水の中に入ったような感覚がした。

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2024年12月27日 08:00
2024年12月28日 08:00
2024年12月29日 08:00

君と、○○と、現実の狭間で。 苺の子 @nanamai0628

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