第10話 エピローグ

 事件が解決し、早瀬はやせ美結みゆと男性はホテルの出口に向かって歩いている。先導してくれているのは先ほどの女性警官。時刻は夜の十時。


「ねえ、今日私、あとは帰るだけなんだけど、おなか空いちゃった。どこかで一緒に食べていかない?」


「良かった。そうだ、最初に連れられて行った人質の人達は大丈夫だったのかな?」

「無事、解放された? 単純に別室に閉じ込められていただけ? 良かった~」


「ほら、出口よ。わー明るい。カメラや報道陣がたくさんいるよ」


「ねえ、手つなごうよ。約束でしょ。ちょっとこれ全国放送されるとまずいかな? ま、いいや。 あなたは新しい事務所の人だからね!」


「あ、警察のみなさん。この度はありがとうございました。お陰様で無事こうやって出られることができました」


 警察の人が美結たちに必要なものがないか聞いてきた。

「何か必要なものがありますかって?」


 美結は手をつないだままの男性を見つめる。そして警察の人に言った。


「あの、さっきの手錠をいただけますか? 結構いいものかもって思って……冗談ですけど!」


 男性はさすがに引く。

「はは、その顔、引きつってるよ。冗談だってば」


「ほら、笑顔、笑顔! 中継されてるよ!」


 美結はマスコミの人達にも笑顔を振りまき感謝の意を表した。

「みなさん、どうもありがとうございました!!」


 送ってくれるパトカーの方に歩いて行く二人。


「ねえ、あなたはどこに住んでるの? マンション?」 

「ねえねえ、ご飯食べ終わったらさあ、あなたの部屋に行ってもいい?」

「何もしないよ。一緒に寝るだけ! いいでしょ」

「ほら、パトカーに乗るよ。先に入って」


「ちょっと、耳貸してよ」


ささやく声で:

「好きになっちゃった!」


「あ、すみません。車出してもらって大丈夫です!」


「終わりよければすべて良しだね!」



 ----------- 補足 -------------

 犯人達は詐欺の常習犯で警察と最終的に100万円の身代金で交渉が成立した。

しかし、1カ月も立たないうちに全員が逮捕された。彼らが使用した薬は睡眠薬に向精神薬を混ぜたもので、効き目があまりなかった。


 美結と幼馴染の男性はその後結婚し、仲良く暮らしましたとさ。




―― 終わり ――

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美結と手錠でつながれて 🌳三杉令 @misugi2023

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