第9話 TV中継
二人はホテルの部屋で待機中。事件はどうなったのだろうか?
「また警察に電話してみたら?」
「え? TV付けてみようって? それいいかも」
「じゃ、つけるね」
美結がTVの電源を入れる。そしてチャンネルを少し変えると……
「あ、中継やってるじゃん! このホテルが映ってるよ」
「ほら、私の写真も出ている。人質の写真も公開してるんだ」
「で、どうなってるの? 状況……」
男性が中継内容をチェックして美結に説明する。
「え? 犯人が交渉に応じそう? それってもうすぐ解決するってことだよね?」
「キャーッ やったー。怖かったよー」
美結が男性に抱き着く。
「ねえねえ、警察に電話してよ。迎えに来てもらおう。手錠の鍵と服も持ってくるように頼んで! お願い」
男性は、言われた通り警察に電話して、決着がついたら迎えに来てくれるように頼んだ。そして二人の着替えの服も。
ちょうどその時、TVで警察が犯人との交渉に成功したことをブレークニュースとして伝え始めた。
「私たち助かったんだ~! 素敵ー」
美結は興奮して男性とベッドに倒れ込む。
「ねえねえ、良かったね。私達助かったよ」
「もっと嬉しい顔しなよ。真っ赤じゃん」
「ちょっとさあ、外出る時にTVに映るかもしれないよね。私化粧し直そうかな、髪もとかさなきゃ」
◇ ◇ ◇
30分後女性警官がやってきて、手錠を外してくれた。そして二人の着替えを持ってきた。着替えが終わり次第、正面玄関から出て車で所望の場所まで送ってくれると言うことだった。男性もホテルはチェックアウトして自宅に帰ることにした。
「着替え終わった? 私は終わったけど」
「えっと、私が使ったあなたの下着は捨てるね」
「え、返してくれって? 絶対ヤダ。変態!」
「ねえ、どういう風に外に出る?」
「手、つないで出てみようか?」
「え、恥ずかしすぎるし、スキャンダルになるって?」
「いいじゃん。 決まりね」
「あ、用意終わりました」
美結が通路で待っている女性警察官に言った。すると女性警察官が美結が声役で出ている作品のファンだと明かした。
「あの作品のファンですか、ありがとうございますー」
「じゃあ、サービスで少しやりますね」
「可愛いニャー、警察のお姉さん。今日はありがとニャン!」
女性警察官は大感激していた。
「じゃあ行くよ、相棒!」
「ほら背筋伸ばして、しゃん! としてね」
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