猫のベッドメリー

天西 照実

猫のベッドメリー


 何もない空間を見詰めていたり、突然走り出したと思ったら何事もなく戻って来たり。

 普段は可愛いペットの行動も、時々不気味に思う事があります。

 我が家の飼い猫にも、理由のわからない行動がありました。



 私の寝室には、キャットケージが置いてあります。

 2階建てでトイレや飲み水なども入れてある、箱状のフェンスのようなもの。

 ハンモックが吊るしてあり、我が家の猫たちにはお気に入りのくつろぎスポットです。


 完全室内飼いで、基本的には家の中で自由に過ごしている猫たち。

 でも窓を開けて掃除したい時や、お客さんの出入りがある時など、脱走が心配な場合はケージに入っていてもらいます。

 私の寝室はベッドや机、本棚が壁際を占領しているので、ケージは部屋の中央に置かれています。

 キャットケージがメインのような寝室ですね。

 パソコンデスクのすぐ後ろ。振り返れば猫様がハンモックでくつろいでいる姿がある。

 個人的には幸せ空間です。


 そんなキャットケージのハンモックですが、ベッドメリー代わりに、紐のついた人形を天井部分から吊るしています。

 ずいぶん昔にUFOキャッチャーで取った、小さい猫のぬいぐるみです。

 ハンモックの上で、じゃれて遊んでくれるかと思い吊るしてみましたが、あまり興味はない様子。

 ぬいぐるみ系の玩具は大好きな猫たちだったので、触れば揺れるベッドメリーに興味を持たないのは不思議でした。


 でも、私がケージの中を掃除していたとき。

 吊るしてある猫のぬいぐるみに目が留まりました。

 可愛かった猫の顔だけが、グズグズに噛み潰されていたのです。


 今まで、パソコンデスク側から見えていたのは、ぬいぐるみの後ろ姿だけでした。

 顔だけが、こんな状態になっているとは気付かず。

 発見した時に、ゾッとしたのは言うまでもありません。


 たまたま届きやすい高さだったのか、噛みやすい形状だったのか。

 それとも、その部分を『顔』と認識していたのか。

 顔部分だけが潰れていた理由はわかりません。


 吊るしていたぬいぐるみに、猫様たちは執着もなさそうです。

 残念な容姿になってしまった猫のぬいぐるみは、

『今まで、ありがとうね』

 と、ひと声掛けてから処分しました。


 現在は2代目ベッドメリーの小さいクマを吊るして、同じような状態になるかどうか。試しているところです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫のベッドメリー 天西 照実 @amanishi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ