気まぐれか愛か憐憫か、そこに在った微かな糸に、青年はしがみついた

イリナ、という女性名に
いわゆる共産圏の空気を感じさせるという、布石が見事な作品

努力が報われる社会であってほしいと
誰もが思っている……そう思いたい気持ちは
楽をして財を成したら一瞬で吹き飛んでしまうのかもしれない

人間の豊かさに対する渇望と
貧困という、深き構造的儘ならなさを見事に描いた傑作

彼女の慈悲は、気まぐれか愛か、それとも贖罪か
そこに理由は無く、ただ偶然そこにあった希望、或いはチャンスだったのかもしれない

努力と成功という単純な構造ではない何かを常に感じさせる、示唆とも教訓とも違う何かを感じさせる物語

しかし作者像を思い浮かべると、そこに譲れない『教育』というものに対する矜持が込められている気がした

普段、触手とか男×男書いてる人とは思えない
いったい何があったんだ!?
と思わされてしまうそんな新境地を、あなたも味わってほしい✨