第9話 初めての依頼

「……んん〜」

視界が開けていく

「知らない天井…」(一回言ってみたかった)

俺の前にはヤンキー犬

どうやら病院に連れて行ってくれたようだ

ん?いやどうやって犬が人間を連れて病院に入ったんだ?

もしかして世間にバレた!?

急いで起き上が――――

「ィ゙ッ……!!!」

腹に痛みが走る

俺の腹には包帯が巻いてある、誰か治療してくれたようだ。

まずは状況を――

周りを見渡し…視界に入ったのは医者の格好をした筋肉ダルマ。

明らかに表の医者ではない

「起きたか、ここは悪滅団本部だ。その筋肉ダルマがお前を治療してくれた。」

「おい、今なんつったァ?」

「あ、ありがとうございます」

「ん、おう」

危ない、筋肉ダルマなんて口走ったらぐちゃぐちゃにされそうだ。

さっきヤンキー犬が筋肉ダルマと口走った瞬間目が医者から殺人鬼へと変わっていた。


「行こうぜ」

「おう」


俺達は退院した

そして家へ帰――らずにとある部屋へ向かった。

「おい、どこ行くんだ?」

「まあついてこい」

ガチャ

なんか豪華な扉を開くと、そこには現実では見たことがない景色が広がっていた。

「――――!!」

前を見ると受付のお姉さん

右を見ると依頼が書かれているらしい張り紙

左を見ると売店(ビールとつまみのみ)

後ろを見ると豪華な扉

…まあ、後ろはどうでもいいのだが…

これは、アレじゃないか!!

「ぼ、冒険者…ギルド……」

「あ?なんだそれ」

そう、冒険者ギルドだった。

異世界とかにあるあの冒険者ギルドだった

「まさか死ぬ前に冒険者ギルドに入れるなんて…!」

俺の夢が一つ叶ってしまった

「冒険者ギルド?じゃねぇよ、ここは依頼を受けるところだ。」

依頼を受けるところ…か。へぇ…

「え、依頼受けんの?」

「そうに決まってるだろ」

その言葉、俺の腹の傷を見てからもう一度言ってみてほしい。

自分が間違っていることに気づくはず――

「しらねーよ、ほら早く行くぞ!」

「………はい」

強く言われて何も言い返せなかった。

ちくしょー


ヤンキー犬は張り紙から簡単そうなものを選ぶと受付へ向かった。

「これ受けるぜ」

「お前もうちょっと丁寧に言えないのか」

「うふふ、大丈夫ですよこんなヤツばっかりなので」

少し黒い感情を感じた

顔を見てみると目が笑っていなかった

てかこんなヤンキー未確認生物見ても何も言わないなんてすごいな…


俺達は依頼を受けると、早速トレイターが出現したという場所へ向かう。

腹は痛いけど、さっきより全然マシになっている。というか治るの早すぎてあの医者もしかしてやばい薬使ったのでは?と心配になってきた。


「ほら、ついたぞ」


そこは市内のとある草原だった

いつもなら人がたくさんいるのだが、トレイターが出たからか誰もいない。

目を凝らすと、遠くにトレイターを見つけたので二人で駆け寄る。


俺は走りながら抜刀

ヤンキー犬は拳を構え

戦闘態勢へ入る

俺たちの走る音に気づいたのか、トレイターもこちらを見る。

視線が交錯する

そのトレイターは、遠くからだとわからなかったがかなり強そうだ。

初めて受けた依頼がこれでよかったのだろうか。

簡単そうなのを選んだんじゃないのか?コイツ今まで見てきた奴らの中で一番強そうだぞ…

だが俺もあの実戦訓練で少しだけだと思うが強くなっているはずだ。

大丈夫、もし怪我をしてもあのヤバそうな筋肉ダルマ(医者)がついている。

大丈夫………大丈夫か?

なんか武者震いがしてきた

「ほら、ビビってないで戦うぞ!」

「…はい、すみません。」


先に攻撃を仕掛けてきたのはトレイターの方だった。

一瞬で何発もの紫弾を撃ってくる

ビュビュビュビュビュビュビュビュ

「うわっ!」

紫弾を走って避ける

避けられてはいるものの攻撃を仕掛ける余裕がない

逃げるのに必死だ

「オラァッ!!」

ヤンキー犬が攻撃を掻い潜ってトレイターを殴る

ドーベルマンでもビックリな威力で殴られた

トレイターは後方へ吹っ飛び、木に激突する

メキッといって木に亀裂が入る

するとトレイターは腕で木を覆うようにして

ベキイッ

木をへし折った

「えぐぅ……」

もう怪力すぎてエグい

こんなやつが最初の依頼の対戦相手とか依頼選びのセンス0かよ

「おい、どうするんどぅおわあ!!?」

左耳でボヒュンッッッと音がすると、トレイターが抱えていた木がなくなっていた。

後ろを見ると転がった木

危な!?当たってたら首から上無くなってたぞ俺…

俺はゴクンと唾を飲む


武者震いがする

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〜拾ってみたら〜ヤンキー犬!? ぽていと @never_Even

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