ひんやりおばけ

磐長怜(いわなが れい)

 

なつのよるは ぬるくて くらくて こわいのです。しょうちゃんは ねむれません。

「しょうがっこうにあがったら、ひとりで ねられないと キャンプ にいけないよ」

おとうさん と おかあさん は そういうのです。 

しょうちゃんは ふとんのなかで じっとして がまんしていましたが、

だんだん はらが たってきました。 

こわいから ねむれない。

ぼくを こわがらせるなんて いじわるはだれだ。

こえにしてみました。

「おばけなんて、いないくせに!」

                   いるよ?

へやの すみで なにか かたん と おとがします。

「うそだい、いないったら」

               いるよ?

おばけが のっそり でてきました。

「きみは だれ」

「きみの きらいな おばけだよ」

さけびたいのに からだがうごきません。ぜったいぜつめいです。おばけは いいます。

「きみが あんまり よるまでおきているから

わたしのこどもが あそべなくてこまる」

ぼくだってこわいんだぞ。しょうちゃんは おもいました。

「おばけは よるに おきるだろう。 よる ちゃんとあそばないと ねむれない」

そういえば しょうちゃんも「あついから」って おそとであそべない ひが つづいていました。

「あそぶって なにするの」

やっとこえがでました。すると おばけの うしろから ちいさな こえが します。

「ひぃー んや、り する よ」

こどものおばけでしょう。なんだか ふわふわと ひかっています。

「ひんやり?どうやって?」

おやのおばけがいいます。

「しょうちゃん くびに あせもができそうだ。ひんやりしてみるかい」

くびが かゆいようなきがしてきました。

「こわいことしたら いやだよ。ひんやり するだけだよ」

「きみだって おどろかしたらいやだよ」

なんて こわがりな おばけ。

しょうちゃんは おんなじことをいってるな とクスクスしました。

ちいさなおばけは ふわふわよってきて こわごわとしょうちゃんのくびに あたまをくっつけました。すると

あれ これは ひんやり。

「ひんやりして、きもちいい」

うふふ、と とくいそうに ちいさな おばけは わらいました。

うふふ、と しょうちゃん も わらいました。


つぎに めをあけたら、もうあさでした。

きょうは いっぱいあそぼう。

あそんで たのしかったことを ちいさいおばけに

おしえて ねよう。 と しょうちゃんはおもいました。

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ひんやりおばけ 磐長怜(いわなが れい) @syouhenya

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