第7話 村雨透夜という

「来い!『冬の鬱病ウェン・ディゴ』」


 神依の異能でウェンディゴを憑依すると、体は重くなったがパワーが上がったのは自分でも理解できた。

 それに、『冬の鬱病ウェン・ディゴ』の能力もだいたい覚えることができた。


 まずは脳と精神をいじってみよう。


 脳に対して異能を発動する。

 その瞬間モンスターは異変に気付いたのだろう。だがもう遅い。


 モンスターが抵抗しようとしたときにはもう、十分俺の異能は脳をいじっていた。


 いまあのモンスターはここが吹雪荒れる雪山に見えるだろう。


 そして脳がここを寒いと知覚したなら体もそれに引っ張られる。

 とくにああいう単細胞はすぐに体が寒さで動かなくなるだろう。




「まぁ、脳への攻撃は成功かな、」


 次は、精神だ単細胞は馬鹿だがその実、精神力は強そうだ。


 少し時間はかかるけれど、ゆっくり蝕ばんでいこう。違和感を感じないほどゆっくり。



 今のあいつは混乱していて俺レベルの攻撃でも極限まですれば気づかないだろう。









 あれから数分後やっと精神への攻撃は完了した。


 この間ずっと一人で暴れていたが、こっちまで被害が来なかったのは幸いだ。


 刀に炎をまとわせて暴れているモンスターを見据える。


 こっちは刀なんてしゃれたものは持ってない。


「よし、いこうか」


 隠れていた場所から気配を消しながら飛び出て様子をうかがう。


 モンスターは疲れているのか動くそぶりを見せない。


 だが、一歩踏み出した瞬間あいつのテリトリーに入ったのかこちらへ攻撃を仕掛けてくる。


 速さはあるが脳がついていってないのか目で捉えられる速さだ。


「あっけなかったが、馬鹿相手だとこのくらいかな」


 そう、捨て台詞を吐いて右腕を振り下ろす。


 雪山の寒さと、精神の不安定からくる体の軋みを前にただ突っ込んでくるしかなかったモンスターは俺の一撃で頭蓋骨が陥没した。


「『食人的宗教カニヴァリューム』─じゃあ、いただきます。」


 人型だし、何とか喰えるかなとか思いながら、一口。

 案外おいしくて一瞬で飲み込んだ。


「ご馳走様。これももらってくな」


 俺は、そういってあのモンスターの武器である刀を奪った。


 カニバリズムは、食べることで対象のすべてを自分のものにできるといういかれた考えの結果だ。だから刀だって俺のものだ。


 だが、疑問が残る。この刀をどこで手に入れたのか。


 そしてここはどこなのか。


 神依のレベルならともかく陽太がここにいるというのはどういうことだろうか。







 結局は第一にここを出なければ始まらない。


 長くなりそうな予感とともにモンスターに燃やされたであろう死体をひとつづつ喰らっていく。



──────────────────────────────────────


どうも「ガウテン」です。


いったんプロローグは終わりです。

さすがにこの量はプロローグっていうのは無理アルカナ?





では、また。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

vs人類 ~人を食べれば食べるほど強くなる異能で人類喰いつくす~ ガウテン @takay4ki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ