第8話

「ふぅ……」


足を上げたり下ろしたりすると小さな水飛沫や波紋が広がる。前の家はお風呂があまり広くなかったからこれは利点かもしれない。


そんなどうでも良い事を考えつつ私の思考は最近の出来事にシフトされる。


ダンジョンで有名配信者を助けたらまさか自分もダンジョン系ヤーチューバー兼アイドルとして働くことになるなんて。


少し前までは顔を見せることに忌避感があったが何故かミカには簡単に見せてしまった。

これから他の人たちにも見せることになるだろうけど。


そういえばミカは私の前で頬を赤らめたり何故か私のほっぺを揉むという奇行に走っていた。

もしかしたらメンタルがちょっとやられているのかもしれない。一応彼女より人生経験豊富な私が…とはいえこの貧相な体になる前の記憶もあまり残っていないが…先輩としてケアをしてあげるべきかも。


そうと決まれば善は急げというやつだ。


私はお風呂を出てミカに電話をかける。



◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

危なかった。思わずそのままベッドに押し倒していまいそうだった。あのロ…いや美少女っぷりを見たら誰彼構わず彼女を襲ってしまうだろう。それ程にあの美貌は私の心を更にロイという女の子に釘付けにした。


「流石に引かれたかな……」


急にほっぺたを揉むという奇行に走った私に対して悪感情を抱かれたかもしれない。


「あ゛ーーー!私のバカ…」


もう少し自重すべきだった。いや私は褒められるべきでは無いのだろうか。あの場で無理矢理抱きしめて首筋の匂いをクンカクンカしなかっただけでも褒められるべき偉業だろう。


そんな意味のわからない理由で言い訳をしつつ

ロイさんの為にコンビニでおにぎりとお茶を買って帰る。


そういえばまた明日と言ってしまったがロイさんにおにぎりとかを届けなければ行けないので

どうせまた帰ることになる。


大丈夫かな、なんか「こいつさっきと言ってた事違うじゃんキッモ」とか思われないよね。

多分きっと大丈夫な筈。ロイさんは優しい人だ。それは少し関わっただけでも分かる。

パッと見ると少し気だるげな顔をしているけれど瞳の奥には温かい、見ていて安心するような

優しさを感じた。


そんな事を考えていた時だった。


ブルルルッとスマホが振動する。

こんな時間に誰だろうと思って表示された名前を見ると。


「ロロロロロロロ、ロイさん!?」


電話を掛けてきていたのはまさかのロイさんだった。

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ダンジョン無双〜有名配信者を助けたら百合ハーレム始まった!? @soli

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