この話が、転生者である主人公グロワス13世だけの物語ではなく、人が紡いでいく歴史そのものなのだということを象徴しているように感じました。
女性性という伝統が生み出した役割を新しい感性で破壊し、そして創造していく。それは現代というものの似写しでしかないのかもしれない、でも、今までにない価値観というものを定義してそれを信じていくことができる人間は得難く、そして強いと感じるのです。
この話は小説でしょう、作り話、絵空事です。でも、だからと言ってそれに感動することは悪いことでしょうか。事実だけが人の心を作るのではなく、たくさんの体験、物語、そして思索が人を作り上げていくのだろうと思うと、この作品は本当に素晴らしいと思いました。
作者からの返信
ご感想ありがとうございます!
社会と伝統の中に育ちながら新しいものを生み出そうとする一方で、それに抗する心象もあり、と、人間の心の二重性を描きたいところでした。
第1部3章あたりからは人間・国家と関係性が複雑になってきて、その上で色々と象徴性を描こうとしたので、ライトノベル?としては分かり辛い類いのお話になっているかと思います。
にもかかわらず、このようなご感想を頂けて本当に光栄です。
ロベスピエール擬きの彼よりも市井の少女たちの方が開明的なのが好ましい。