本作は、棋書と小説の創作論を比較して思う処を書いたエッセイです。
おおよそ、小説の創作論には書いた人の考える小説の書き方や読ませ方が書いてあります。
更に敷衍するならば、〝物事の方法を書くもの〟には作者の考える〝目指すべき状況やあるべき状態〟が示されています。
しかるに、多くの棋書にも創作論にも
誰に向けての方法かは厳密に書かれてはいないのです。
書かれていても、読む側にとって自分に合うやり方が書かれているのかは、読むまだわからない。
ムリもないのです。
まだしも棋力は凡そわかるとして、本来、素人の書き手に自分の筆力なんてわからないものです。
小説は将棋と違い、勝敗がつかないのですから。
だからせめて、みんな名人上手の気分でいれば良いのです。
ろくにターゲッティングが出来ない手引き書なのだから、ミスマッチはよく起きます。
作中で御本人も言っておられます。
〝カクヨム投稿も将棋も、正しさより指してみてからが楽しい〟
指南書のちぐはぐさの可笑しみ。
それでも読んだら面白い読み物として楽しさ。
本作の語る創作論のあれこれには、頷くことばかりです。
棋書や小説の創作論を読む合間に最適の本作。
ぜひ御一読ください。