第3話 は? これのどこが自己紹介なのよ!?

「お次は、私がやるよ! 私の名前は真白橙架」


「三年生で、生徒会長をやっている……趣味は可愛い物を見ることだ、皆、よろしくね」


 すると家の中で拍手が響いた。


 ふん、さすが生徒会長様だ、なにがさすがかわからんが


「お次は! 私がします!!」


 そう言ったのは加藤だった。


「私の名前は加藤緑久!! 魔界に住まうドラゴンを倒すもの!!」


 ……は? こいつ、何を言っている……


「同志たちよ! これからよろしく頼む!! ワハハハハ!!!」


 そう、加藤は、高らかに笑った。


「おい! こいつは、一体何言っている、魔界? 何の話をしているか俺にはさっぱりだ!」


 俺は誰かに説明してもらおうとそう言った。

 

「彼女は厨二病なの! 彼女の額には眼帯があるでしょ!! あれは、魔界に繋がる第三の目を封じるためにやっているそうよ」


 そう、山瀬が説明をしてくれた。


「なに? この世界には魔界というものが存在するのか? 知らなかった」


「違うわよ! 流川くん、魔界は、この世界にはないわよ!」


 なに? 魔界というものはこの世界にはないのか?

 俺はそう思い、再度山瀬に聞き返す。


「は? 何を言っている?」


「うっ、後で説明するわ……」


「ほらそれに見てこれ、彼女コスプレイヤーのしてもめちゃくちゃ人気なのよ!」


 そう、山瀬がスマホを見せてくれた。


 これは……?

 そこには、コスプレをしている彼女と一線を風靡しているフォロワー数があった。


「おい! そこの加藤!」


「なんですか? 流川くん?」


「お前! 採用だ! 将来お前を流川グループ、宣伝係に採用してやるぞ! 感謝しろ!」


「ん? なんだか、よくわかりませんけど……ありがとうございます」


 そう、加藤がキョトンとしてそう答えた。


「あの……次いいですか?」


 そう小さい声で言ったのは、椎名青依だった。


「私の名前は椎名青依と言います。人見知りだけど……よろしくお願いします。」


「うーん! よろしくね!!」


 そう言って拍手が起こった。


「続いては私がします〜! 私の名前は胡蝶藍花と言います〜趣味は寝る事と、ゲームをすることです〜みなさんよろしくお願いします〜」


「ちなみに彼女はゲームとってもうまいのよ!」


「ふん、そうなのか、ってか、山瀬お前はなんだ?」


「へっ?何だって何が?」


「お前、色々虹色の美少女様の事、知ってるがもしやお前、テレパシーでも使えるのか?」


「……はっ? なに言ってるの? 流川くんさっきあなたがここに来るまでみんなでいろいろ話をしたからわかるの! 私!!」


「最後は、わたしですね! 私の名前は白雪紫月と言います!! 趣味は体を動かすことです! よろしくお願いします。」


「ふん、ようやく、自己紹介が終わったか……長々とご苦労様なこったな……」


 そう俺が疲れまじりに言うと虹色の美少女様の視線が俺に集まった。


「ふん、どうしたのだというのだ、そんなに俺を見つめて、ふん、まさか俺に惚れたか……ふん、悪いが断らせてもらう……さっきも言ったが俺は恋愛には興味はない……悪かったな……」


「流川くん……あなた何言ってるの?」


 俺がそう言うと、真白先輩が俺に言って来た。


「は? あんたこそ何を言っている……これは俺に対する恋の目線ではないのか?」


 そう聞くと、またまた有栖が俺に噛み付いて来た。


「そんな事あるわけないでしょ! バーカー!」


「おい! そこの女! これで、合計七回だぞ! 七回! よくもこの俺にバカと!」


「さっさと、自己紹介はじめなさい! バカ」


 この女は! これで合計八回だぞ!

 有栖は俺にバカと言って、自己紹介をするように促してきた。


「ふん、お前らそんなに俺の自己紹介が聞きたいのか!! ふん、いいだろう! では、俺の自己紹介の前に流川グループの創業の歴史について話そうか!」


「流川くん……それ、何分かかるの?」


「ふん、ざっと言って二時間と言った所か、貴重な次期社長からの会社の歴史が聞けるんだぞ! お前ら俺に感謝しろ!!」


「は? 二時間もあんたのくだらない話を聞かされるの!? そんなのごめんだわ!! こいつの自己紹介なんかなしでいいわよ! なしで!」


 なんだと、有栖、こいつは、俺の会社の創業話をくだらない話だとそう言うのか!?


「なんだと! おい女! くだらない話とは何だ! くだらない話とは!」


「ええ! そのままの意味よ! くだらないのよ! くだらない!」


「ちっ! ふん、そんなに言うなら聞かせてやる二時間きっちり勉強しろ!!」


「それは勘弁してほしいです〜」


 俺がそう言おうとしたら胡蝶先輩が言って来た。


「流川くん……それは流石に私たちも二時間は……」


「なに? 会社の話を聞きたくないのか……?」


「聞きたいわけないでしょ! あんたの話なんかつまんないわよ!」


「流川くん……今日の所は、自分の自己紹介で勘弁して」


 そう、真白先輩に言われた。


「ふん、仕方ない……今日は俺だけの自己紹介で、勘弁してやる! お前ら感謝しろ」


「とか言って、会社の話したら、私があんたを殴り飛ばすからね!」


 そう、有栖が俺に言って来たが、俺はそれをスルーした。


「俺の名前は流川新太!! 世界が認める大企業!! 流川グループの社長の一人息子で次期社長だ! そんなこの俺と暮らすことができる虹色の女神様は、とても幸運な事だ! お前ら俺に感謝しろ!」


「は? これのどこが自己紹介なのよ!?」


「ふん、なに? これは、立派な自己紹介だろ! お前は頭が悪いのか?」


「頭が悪いのはあんたの方よ! 誰に聞いても一百発百中あんたが頭悪いっていうわよ!!」


「なんだと! この俺に頭が悪いと言ったな! 今すぐに訂正しろ! 今すぐにだ!」


 そう有栖と言い合っていると、白雪がほっとしたように


「やっと自己紹介全員終わりましたね!」


 そう言った、その後、続けて真白先輩がこう言 た。


「なんだか、高校生だけの共同生活って、新鮮で不思議な感じがするよね!」


 やれやれ、めんどくさいことになったみたいだ


 ーーこうして、俺と虹色の女神様との賑やかな共同生活が幕を開けた。








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