第2話 もちろん帰るんだ!! こんな共同生活こっちから願い下げた!

俺は家に入るとそれなりに大きいリビングに虹色の女神様が全員集合していた事に驚いた。


「あ……やっと来たか! 流川くん!!」


そう、真白先輩が言った。

そういえば真白先輩は、俺の一個上の先輩だったか……ちなみに胡蝶先輩もである。


「わーい! この家広ーい広ーい!!」


「おい!こら、紫月!! 家の中を走り回るでないぞ!!」


そう真白先輩が白雪に言う。


なんだこりゃ……騒がしいな……

胡蝶先輩に至ってはリビングにあるソファに寝ている。


「おーい! 虹色の美少女様!! 俺の話を聞け!」


「えっ? どうしたの? 流川くん?」

そう、山瀬が聞いて来たが、俺は手で静止した。


「俺はな! 文字通り、流川グループの次期社長! 流川荒太だ!!」


「は? あんたそれ何回言うわけ!? 」


「うるさい! 少しは俺の話を聞け!!」


 俺は有栖がなんか言って来たが、だまらせた。


「俺はな、そもそも恋愛なんてものみじんにも興味はない! それに許嫁のこともな! 許嫁なんてこっちから願い下げだ!」


「それで? 結局流川くんは、何が言いたいの?」


 そう、真白先輩が言って来たので、俺は淡々と結論を言う。


「つまりだな! 俺には許嫁は必要ない! それすなわちこの馬鹿げた共同生活も必要ないということだ! だから、俺は帰る。」


 そう言って俺は玄関の方に歩き始める。


「えっ? 流川くんどこ行くんですか?」


 そう白雪が聞いて来たから俺はその質問に答える。


「もちろん帰るんだ!! こんな共同生活こっちから願い下げだ!」


「あ、そうだ、お前らがどうしてもこの家に住みたいとそう思うのならばこの家、お前らにあげてやったっていいんだぞ!」


 そう俺は右手を差し出すジェーチャーをした。


「あっ、そう! じゃ、早く帰ったら! その代わりこの家はあたしたちが快適に使わせてもらうから!」


「ちょっと、黄華! あなたもいちいち流川くんに噛み付かないで、あと流川くんもちょっと待ってよ、せっかくここに集まったんだし、少しお話でもしようよ……」


 そう、山瀬が言って来たが、俺はそれに応じなかった。


「ふん、せいぜい俺に感謝することだな! 虹色の美少女様!!」


 俺はそう言って、玄関に言って、靴を履いて、外へ出た。


「なぁ、ここに運ばれた荷物、俺の家にちゃんと戻しておいてくれよ!」


 そう、玄関の前で固まっていた、親父の使用人二人に話した。


「帰るぞ! じぃ、車を出せ!」


 俺はじぃに車を出してもらって家に帰ろうとする、だがしかし……


「なりません!」


 ……はっ!?


 じぃにいきなりだめだと言われた。


「なぜだ! じぃ、お前は俺の使用人のはずだ! 俺のいうことを聞け!! 今すぐに!!」


「なりません!」


「なぜだ! じぃ!?」


「私は、社長に伝言をおおせつかってあるからです。」


 ……親父からの伝言だと?


「わかった……聞こう……その代わり手短に話せ!」


「はい、ゴホン、社長殿からは、あなたがこの家に少なくても一ヶ月は、住まないと次期社長を剥奪すると……」


 ……は?

 今、じぃはなんと言った?


「……はっ!?」


「ですから! お坊ちゃんあなたは! 家に帰ってはだめなのです! あなたが流川グループを継ぎたい思うのならなおさらです!」


 おいおい、嘘だろ!?


「おい! じぃ、なぜそれをもっと先に言わない……」


「すみません……お坊ちゃん、こう言うのは後で話すべきかと……」


 ちっ! あの家の中にいる虹色の女神様にあんなこと言ってしまったじゃねえかよ!

 虹色の美少女様にあんな事を言った手前、やっぱり家に戻るのは俺のプライドが許さない……


「じぃ、やっぱり、戻るぞ!」


「お坊ちゃん!! なりませんぞ! 今のご自身の立場をもっと考えて!! あなたは次期社長になるべきお方! こんなところで終わるあなたではないはずです!!」


「ふん、じゃあ、いますぐ車を出せ、いますぐ、親父のところへ行って直談判に行ってくる」


「お坊ちゃん! おそらく今回の社長殿は、本気です!! 直談判に行ってもおそらく無謀かと……」


「いいですか! お坊ちゃん! あなたが次期社長として生き残るためには虹色の美少女様との共同生活を受け入れるしかないのですぞ!」


「でも、俺はあの家にいるあいつらにあんな事を言った手前、家に戻るのが気まずいというかだな……」


「きっとお坊ちゃんなら! 大丈夫だと思いますぞ!!」


「ほんとか? じぃ……」


「はい! お坊ちゃんがこんな小さい時から使えてるこの私が言うのです! もっと自分を信じて……」


……じぃ……

俺はその言葉をもらうと、もう一回虹色の美少女様のいるあの家の中に入って、リビングに向かった。

そして、リビングに着くと、虹色の美少女様に向かって言葉をかけた。


「ふん、お前らがどうしてもとお願いするのならしばらくの間、一緒に住んでやってもいいぞ!」


「あの、クッキー美味しいよね!」


「でも、最近あのショートケーキも人気じゃない!」


 ……は?

 誰も俺の話を聞いていないのか……そもそも、俺がここに戻ってきたことに誰一人気づいてない

 何ということだ……

 俺はそう思い、再度大きい声で。


「おーい!! 虹色の美少女様!! 俺の話を聞け!」


すると虹色の美少女様が一斉にこちらに向いた。


「あんた、なに? 戻ってきたの? 忘れ物? ほら、はやくとっていったいった! あと、虹色の美少女様って言うのやめてくんない!」


そう、有栖が俺に向かって言って来た。


「忘れ物……ふふ、そんなものは無い! なぜって、ここは俺の家だからだ!」


「は? あなた、さっき私たちにあげるとか何とか言ってたわよね! 寝言は寝ていいなさい!!」


 有栖……こいつは、なぜ俺にこんな噛みついてくる……?


「ふん、気が変わったまでだ……これからは、しばらく俺と一緒に暮らせるんだ、お前ら俺に感謝しろ!」 


「はあ? 誰があんたみたいなバカに感謝するかって言うの!!」


「おい! 今のは聞き逃さないぞ! この流川グループ次期社長に今バカと言ったか? バカと!」


「ええ! 言ったわよ! 何だったら聞こえなかったんだったら何回でも言ってあげるわ!バーカ!! バカ! バカ! バーカ!!」


 この女!?


「お前! バカを一回たらず、さっきから六回も!」


「あら? あたしが言ったバカの数は数えられる程……知能はあるようね……」


「なんだと! お前、もう一回……」


「二人ともいい加減にして!」


 ……なんだ?

 そう、俺と有栖の言い合いに待ったをかけたのは、山瀬だった。


「二人ともこれから一緒に暮らすんだよ! もっと仲良くして!! そうだ、今から二人のいい所を言い合ってもらいましょ! それで仲直りよ!」


「はっ? 何を言っている、この女に良いところなんて一つもあるわけないだろ!」


「はっ!? あんたにそれをそっくりそのままお返しするわ、次期社長〜〜〜」


「何だと?」


「なによ?」


「ちょっと二人とも、落ち着いて……」


「はいはいー! みんな注目!!」


「あっ?」


「ちょっと、黄華ちゃん落ち着いて、流川くんも落ち着こうか……」


 そう言って俺たちの視線をいったんに集めたのは丘の上高校の生徒会長の真白先輩だった。


「私たち……まだお互いの事よくわからないじゃん……だから今から自己紹介をしようと思います!

はい! みんな拍手!!」


 そういうと、虹色の美少女様が拍手を始める。


「ほら、流川くんも拍手!」


そう、山瀬が言って来たので、俺は


「ふん、今何もない時に拍手しても腕が疲れるだけだ……だから俺はせん」


「さーて、じゃあ! 誰から自己紹介しようかな?」


「はーい! じゃあ、私からやります。」


 そう言って山瀬が一番に名乗り出た。


「私の名前は、山瀬赤音と言います!! 趣味はカフェ巡りです。みんなこれからよろしくね!」


 そう彼女が言うと、拍手が発生した。

 俺はというと、もちろん拍手は、していない。


「じゃ、私、次するわ……」


「私の名前は有栖黄華よ! 趣味は音楽を聴いたり……ショッピングをしたりすることよ!」


「あと……嫌いなものは流川くんあなたよ」


「……あ? 俺が何だって、女神様よ?」


「ええ? 聞こえなかった? だったら何回も言ってあげる。耳の穴かっぽじってよく聞きなさい!」


「あ!た!し!は、あなたのことが嫌いよ!!」


「ちょっと!! 二人とも喧嘩はやめなさい」


 そう真白先輩に俺たちは注意をされた。


「ふん、まぁ、いい! それよりもさっさと自己紹介を終わらせろ!」


 ーーこうして、虹色の美少女様と俺による自己紹介が幕を開けた。

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