リハビリ「午前十一時半に鰺のなめろうを作った」(短編)

隅田 天美

フェイトシリーズを知らない人間が作る『アジのなめろう丼』

 今年四十五になった。


 もう、昨今のアニメや小説についていけない年齢である。



 だが、思いかけずに『フェイトシリーズ』を知ることになる。


 それが「衛宮さんちの今日のごはん」だ。


 私は独身で自炊をするので結構参考なっていい。


 なお、本編では「うわー! ケチャップやデミグラスソースが沢山流れてるぅううう‼」と驚いた。(=流血)


 

 さて、本題。


 第二巻に紹介された『なめろう丼』を作るべく、まずは馴染みのスーパーに行くが、そこにはなく、しょうがなく薬味だけを買う。


 あと、『なっちゃん 期間限定洋梨味』とシュークリームと缶コーヒーも買う。



 次はやや遠方にある大型魚専門店だ。


 車だと駐車場が混んでいて(特に休日などは結構待つ)駐車自体も難しいのだが、何とか愛車を止めて店へ急ぐ。


 お盆休みで平日なのに結構人が多かった。


 だが、アジが安かった。


 丸々に太って一尾二百五十円。


 店員さんに三尾、三枚おろしにして腹骨と中骨を取ってもらうようにお願いした。


 これも人間力である。


 ズルではない。


 使える力は使う。


 数分後、捌かれた味がパックになって値札が貼られていた。



 帰宅後、手などを洗い、コンビニで買ったまな板清潔シートを置いて、まずは薬味系(ネギ、すりおろしたショウガ)を小鉢に入れてスタンバイする。


 で、本題の鰺であるが……


 正直、三尾が多すぎた。


 その前に、私は捌いてもらうときに中骨も取ってもらうように言ったのに中骨あった……


 まずは鰺の皮を剝く。


 これも手ごわい。


 漫画だと簡単にピーっと剝がれるが実際は、丁寧に剝がさないと身が持っていかれる。


 何とか六枚の身から皮を剝ぐと次に中骨を切り取る。


 そこからは、包丁で叩く。


 ただ、ただ、包丁で叩く。


 漫画ではランサーがダダダッと切っていたが、人間である私は途中から『北斗の拳』のBGM(『TOUGH BOY』のインスタバージョンなど)が流れ、心がどんどん無になる。



 心を整えるのに『禅がいい』とか言うけど、だったら、アジの切り身を包丁で刻むのもお薦めだ。


 

 気が付いたら大分滑らかになったので、味噌や薬味などを入れて再度、心を無にする。


 馴染んだところで少し冷ましたごはんを丼に乗せて、炙って千切った海苔を撒き、なめろうを上乗せ、白胡麻を散らす。


『なめろう丼』の完成である。



 感想とすれば、普通に美味しい。


 下手な店に行くより安価だし、下ごしらえなどもあらかじめ店のほうでしてもらったので楽と言えば楽。


 薬味なども手短にあったし、火も使わない。(刃物を使うからそこは注意)








 えー、同じ話でアジの大葉梅肉焼きがありましたが、私は大葉も梅肉も大嫌い(においだけで吐き気がするレベル)なのでパスしました。

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リハビリ「午前十一時半に鰺のなめろうを作った」(短編) 隅田 天美 @sumida-amami

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