第38話 帝国の司令部

ゼノ・オスカーとそのクルーは、エテルニス帝国の旗艦内部を進みながら、激しい銃撃戦を繰り広げていた。帝国の兵士たちは訓練を受けた精鋭であり、その攻撃は激しさを増していたが、エニグマ号のクルーたちも負けじと応戦し、少しずつ敵の防衛を崩していった。


「この先が司令部だ!」リラ・ナイトシェイドが激しい戦闘の中で叫びながら、ゼノに伝えた。「敵の指揮系統を直接叩けば、残りの部隊を無力化できるはずです!」


ゼノは頷き、クルーたちに最後の突撃を指示した。「全員、司令部へ突入する!この戦いを終わらせるぞ!」


クルーたちは一斉に司令部へと突撃し、厚い装甲ドアを爆破して内部へと突入した。司令部の内部は広大なホールで、中央には巨大なホログラムディスプレイが設置されており、そこには銀河全体の戦略図が映し出されていた。その光景は、帝国がどれほど広範な支配力を持っているかを一目で示していた。


ホールの奥には、帝国の司令官インフィニス・レイガーが立っていた。彼は冷静な表情でゼノたちを迎え、手をゆっくりと挙げた。「ようやくここまでたどり着いたか、ゼノ・オスカー。だが、ここでお前たちの旅は終わりだ。」


ゼノは冷静にレイガーを見据えた。「レイガー、お前の帝国の支配は今日で終わりだ。銀河は自由を取り戻す。」


レイガーは冷笑を浮かべながら、ホログラムディスプレイに手をかざした。「本当にそう思うか?お前たちが何をしようと、私の計画はすでに進行している。この銀河は、我々帝国の支配下に完全に置かれることになる。」


「お前の支配は恐怖と圧政によるものだ!」ケイド・ローガンが怒りを込めて叫んだ。「そんな未来は誰も望んでいない!」


「望むと望まざるとに関わらず、秩序は必要だ。」レイガーは冷静に答えた。「そしてその秩序を維持するためには、絶対的な力が必要だ。お前たちはその現実を受け入れるべきだ。」


「そんなことは許さない!」ゼノが叫び、クルーたちに指示を出した。「レイガーを捕らえろ!」


その瞬間、レイガーはホログラムディスプレイを操作し、司令部の内部に隠されていた防衛システムを起動させた。床や壁から無数の自動砲台が現れ、ゼノたちに向けて猛烈な攻撃を開始した。


「罠だ!」リラが即座に反応し、クルーたちに防御を指示した。「防衛システムを無力化しない限り、ここから出ることもできない!」


「リラ、システムをハッキングして防御を無力化してくれ!」ゼノが叫び、クルーたちは必死に自動砲台の攻撃を避けながら応戦した。


リラは素早くシステムにアクセスし、ホログラムディスプレイの制御を奪おうと試みたが、レイガーもまた、その動きを察知して妨害を開始した。


「お前たちに何ができる?」レイガーが嘲笑しながら言った。「お前たちの技術では、私の防御システムを突破することはできない!」


だが、リラは冷静さを保ち、集中力を高めてシステムの脆弱性を突いた。「そんなことはない…私は必ず突破してみせる!」


彼女の努力が実を結び、自動砲台の一部が徐々に停止していった。ゼノたちはその隙を見逃さず、反撃を開始した。


「レイガー、これで終わりだ!」ゼノは決定的な一撃を放ち、レイガーに迫った。


レイガーは最後の抵抗を試みたが、ゼノたちの猛攻に耐えきれず、ついに彼の防御は崩壊した。レイガーは膝をつき、ゼノたちを見上げながら冷たい笑みを浮かべた。「お前たちは勝利を得たと思っているかもしれない…だが、この戦いはまだ終わっていない…」


その言葉を最後に、レイガーは意識を失い、司令部内は静寂に包まれた。


「彼の言葉には何か裏がある…」ナヴィが警戒心を抱きながら言った。「何かがまだ残っているのかもしれない。」


「それでも、今は勝利だ。」ゼノは息を整えながら答えた。「だが、警戒を怠るな。まだ全てが終わったわけではない。」


クルーたちはレイガーの言葉に注意を払いながら、司令部内をさらに調査し、残された帝国の指揮系統を完全に無力化する作業を開始した。


銀河の未来を決するこの戦いは、クライマックスを迎えつつあったが、まだ最後の局面が残っていることを、ゼノたちは強く感じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年9月20日 18:00 毎日 18:00

エニグマ・クロニクル 〜星間の謎を追う者たち〜 湊 町(みなと まち) @minatomachi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画