第37話 帝国旗艦への突入

エニグマ号は、銀河の闇を切り裂いて進み、ついにエテルニス帝国の巨大な旗艦のすぐ目の前に到達した。旗艦は暗黒の中に威圧的な存在感を放っており、その表面は無数の武装と防御システムで覆われていた。エニグマ号のクルーたちは、これから始まる決死の突入作戦に備えて、緊張感を高めていた。


「目標地点に到達しました。」リラ・ナイトシェイドがブリッジの端末を操作しながら報告した。「旗艦の外部システムに干渉を試みますが、かなり強固な防御システムが稼働しています。これは容易には突破できそうにありません。」


ゼノ・オスカーはリラの言葉を聞きながら、旗艦を見据えた。その圧倒的な姿に、彼は改めてこの戦いの重要性を感じていた。「我々が突破しなければならない。リラ、全力でシステムを攻撃しろ。ナヴィ、リラのサポートを頼む。」


「了解、船長。」ナヴィ・エルドレッドが応答し、リラと共に旗艦の防御システムへのハッキングを開始した。


ブリッジ内では、ケイド・ローガンが武器システムを準備し、指示を待っていた。「ゼノ、全砲門を最大出力で旗艦にロックオン。突破口を開くための一斉射撃を準備しています。」


ゼノはケイドに頷き、冷静に指示を出した。「よし、リラとナヴィがシステムに干渉でき次第、砲撃を開始しろ。まずは防御システムを無力化し、我々が旗艦内部に侵入するための道を作る。」


リラとナヴィが集中力を高め、旗艦の防御システムに対する攻撃を続ける中、エニグマ号のブリッジには緊張が漂っていた。彼らが少しでもミスを犯せば、旗艦の反撃によってエニグマ号は粉々にされる危険性があった。


「防御システムに干渉できました…今です!」リラが声を上げた瞬間、ケイドが一斉射撃を開始した。


エニグマ号の全砲門が火を噴き、旗艦の防御システムに向けて強力なエネルギー弾を放った。激しい衝撃が旗艦の表面に炸裂し、閃光が暗闇を一瞬だけ照らし出した。その瞬間、防御システムの一部が崩壊し、旗艦の表面に大きな破損が生じた。


「突破口が開いた!」ケイドが興奮気味に叫んだ。「この隙に突入するぞ!」


「全員、突入準備!」ゼノが指示を出すと、クルーたちはすぐさま小型の突入艇に乗り込み、旗艦内部への強襲を開始した。


突入艇が旗艦の破損した部分に向かって急速に接近し、ゼノとクルーたちはその瞬間をじっと見守った。艇が旗艦の表面に取り付き、エアロックを解除して内部に突入する準備が整った。


「ここからが本番だ。」ゼノはクルーたちに静かに語りかけた。「これが銀河の未来を決める戦いになる。全員、覚悟を決めろ。」


突入艇のエアロックが開き、ゼノたちは旗艦の内部へと足を踏み入れた。内部は暗く、冷たい金属の匂いが漂っていた。彼らは慎重に進みながら、敵の待ち伏せに警戒し続けた。


「内部構造をスキャンします。」リラが持参したポータブルスキャナーを使いながら言った。「この先に司令部がありますが、敵の部隊が待ち伏せしている可能性があります。」


「気を引き締めて進むぞ。」ゼノがクルーたちに指示を出し、旗艦の司令部へと向かって進撃を開始した。


その時、突然警報が鳴り響き、旗艦全体が赤い光に包まれた。敵の待ち伏せ部隊が彼らの存在に気づき、激しい戦闘が始まろうとしていた。


「全員、戦闘態勢を取れ!」ゼノが叫び、クルーたちは一斉に武器を構えて警戒を強めた。


旗艦の暗闇の中から、帝国軍の兵士たちが次々と現れ、ゼノたちに襲いかかってきた。激しい銃撃戦が始まり、クルーたちは巧みに敵の攻撃をかわしながら応戦した。


「この先が司令部だ!」リラが叫びながら、ゼノに指示を送った。


「突入するぞ!」ゼノはクルーたちに最後の指示を出し、帝国の中枢を目指して突撃を開始した。


銀河の未来を賭けた戦いが、今まさにクライマックスに突入しようとしていた。ゼノたちは、帝国の支配を打ち砕くため、全力で戦い抜く決意を固めていた。

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