第4話
「ミフィナ様、あそこがラスタ村です」
ラクティアはミフィナを連れて村の入り口が見えたところで立ち止まってひと息つくように言った。
「思ってたより遠かったわね。体力のなさを痛感したわ」
息を整えながらラクティアに返す。
「ようこそラスタ村へ。村長を務めていますラスタードと申します。ミフィナ様でございますね?」
ラスタードは直立の姿勢でかしこまった挨拶でミフィナたちを出迎える。
「今日は遺跡の案内よろしくお願いします」
ミフィナは軽く頭を下げた。
「今回はブルグ様のご息女として扱えばよろしいですかな?それとも遺跡調査員としてですかな?」
「遺跡調査員です」
ミフィナは即答で返す。
「わかりました、ではそのように。いいな?ラクティア」
「私からは何も。従うのみですから」
「よし、それじゃあ早速で悪いが俺は今日は案内できなくてな、息子のエリエルが案内する。よろしく頼む。おーい、エリエル!」
ミフィナは急な態度の急変と展開に口を開けたままラスタードを見つめる。
「俺はエリエル!遺跡の案内は任せてくれ!」
ついさっき父親から案内役の話を聞き嬉しさが止まらず満面の笑顔で出てきた。
「ちょっとお前らは自己紹介でもしてろ。おい、ラクティアちょっと・・・」
エリエルとミフィナから少し離れてラクティアに話しかける。
「話は聞いてる、悪いがあとは頼んだぜ。わははは」
ラスタードは笑いながらラクティアの背中を叩く。
「私はお二人のお子様の子守り係ではないのですが」
ため息混じりにラクティアは言いながら首を横に振りエリエルとミフィナの元に帰る。
「では、エリエル君よろしくお願いしますね。早速参りましょうか」
三人は遺跡に向かうために森の中を歩いていく。
「遺跡までの道はできてるしほとんど一本道だから迷うこともなく行けるんだ」
エリエルは楽しげに説明する。
「それなら楽でいいわね。遺跡の中は複雑なのかしら?」
「え?知らねーよ?」
「知らないってあなた遺跡の案内役なんでしょ?それでどうやって案内するのよ?」
「だって今回遺跡調査の案内初めてなんだよ。遺跡までの道はよく通るんだけど中は入ったことないから楽しみなんだよ!」
「そうなのね、わかるわー!私も遺跡調査は今回が初めてだからとっても楽しみにしていたわ。ふふっ」
エリエルとミフィナは親近感が沸いたのか話し時には笑いながら歩いていた。
「お二人とも、お楽しみのところ申し訳ないのですが今回は遺跡調査ではなく下見、いわば見学のようなものですよ?まぁ中には入りますが」
ラクティアは淡々と言い放った。
エリエルとミフィナな足を止めラクティアを見てお互いを見たあと同時に叫んだ。
「えぇぇぇーーー!!!」
「おかしいとは思ったんだよ、親父が簡単に案内役は任せたとか言うから」
「私も楽しみにして浮かれすぎてたわ」
「エリエル君のほうはわかりませんがミフィナ様のほうは騙すつもりではなくたまたま調査周期が延びてしまっただけなんですよ」
ラクティアは変わらず淡々と話し続ける。
「さ、着きましたのでしっかりと遺跡を見て行きましょう」
重い遺跡の扉に手をかけゆっくりと開けていく。
レストリア戦記~交錯する剣と魔法~ @kumane
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