ちょっと神様、転移先かぶらせないでくれます?

@sokaidesu

プロローグ

この世界の人生では、祝福ギフトですべてが決まるといっても過言ではない。

職業、生き方、交友関係...もろもろ全て祝福に左右される。


この世界を語るうえで避けて通れない。それが祝福。

その祝福は主に4種類に分けられる。

攻撃系、バフ系、生産系、そしてその他。

攻撃系は言うまでもないだろう。魔法を使ったり、剣や拳で戦えるようになる祝福である。

バフ系は強化はもちろん、防御やデバフなどの祝福がここに含まれる。

生産系はまあ異世界おなじみ鍛冶屋などで武器を作れる。

そしてその他。まあここはなんでも例外はあるよーってとこ。ピンからキリまである。

というのが、女神さまの説明だそうだ。


はい。俺の名前は楢山 暁。齢17歳。恋人なし。友達なし。親不孝。絶賛劣等生。

死因、幼馴染に告って、振られた後、ラブコメイベントを期待して女の子を助けようとし、無事に引かれる。いやー人生17年だったねー。笑えないぐらいあっさり終わったね。と自分の人生を振り返りながら、思っている。


「どうですか?ギフト決まりそうですか?」


この超しごできそうなスーツ姿のスレンダー美人が、女神さまだそうだ。昔は制服もとい、聖服だったそうだが、女神界隈でも服について...いや、スタイル自体も自由が認められて来ているそう。ほんとにどこも同じだなー。


さあ話は変わる。

まあ簡単に言うと、異世界に送ることができるのだそうだ。なんかあの人が重要人物だったっぽく、助けてくれたお礼にと、オタクの男子高校生ならば喜ぶだろうと向こうの神様が手配してくれたらしい。オタクへの理解がある、ギャルもとい、神様ってわけか。


まあそれに応じて、オタクならばと祝福を付与してくださるそうだ。ほんとに理解があって助かります。


この世界にはスキルとの相性があるらしい。昔の召喚された人が、相性が悪く、速攻で死んで帰ってきたことから、相性を表示するようになったそうだ。あ、ちなみにその人はたまたま期間内なら一度復活出来るキャンペーンだったので行けたそうだ。

ちなみに今は経験値アップ、魔力効率アップ付与キャンペーン期間中だそうだ。なんか企業みたいだな。


祝福は三つ選んでもいいそうで、まあオタクたるものここは、みんな大好き鑑定と限界解放という、一時的に無双できるスキルを選んだ。ここら辺はそこそこ相性がよかった。


そして三つ目、これが一番大事だ。これですべて決まるといっていい。地道に剣術を鍛えるのもいいだろう。だが、見てみよう。この悲惨な相性をこれ誘導されてんじゃねってぐらい攻撃系、生産系の祝福の相性が悪く、防御なんかは10%台とかなり低い。ちなみにこの相性というのは最大解放率やスキルレベル上昇率に関係するらしく、馬鹿にできない。

そして残るはその他スキルのみ。その他スキルは何故か相性が良い。鑑定なんかはその例で90%とかなり高かった。


そしてスクロールしていくと、最後のほうに

「100%!?」

そのスキルの名前は...キープ?


「あ、それ向こうの世界ではレアくずスキルって呼ばれてるやつですね。」


「え、そうなんですか?」


「私的にはそうではないですが、でもあの方達からするとそうなんですかね。

でも相性100%と99%では全く違います。なかなか100%というものはありません。」

この人がこれだけ言うってすごいんだろうなと思う。

「100%と99%って1%なのになんかそんなに違うもんなんですか?」

「大きく違います。まあこれ以上は女神としては一人に対する、肩入れとなるので、言えませんが、とってみたら分かります。」

うーん。悩むな。だが、人生は冒険だ。オタクたるもの、夢見た異世界。面白くなくては。無難を選んだって楽しくない。


さあここだ。ここが前世でいう、陽キャ女子に話しかけられた時。

あの何を喋ればいいのか。ウケ狙い?それとも、敬語で業務連絡?

こここそ人生の正念場。

「よろしくお願いしまああああす!」懐かしのあの映画のセリフで俺はキープを選んだ。


「ギフトが決まったようですね。それでは、確認します。第一スキル鑑定、第二スキル限界解放、第三スキルキープでよろしいですね。」

「はい」

「それではキャンペーン効果で経験値アップと魔力効率アップを付与させて頂きます。そして、説明係、会話係としてこの犬をつけさせて頂きます。」

「え、この子つけてくれるんですか!?」

「はい。今回は一人かつ事情を誰も知らないところに転移することになるので。」

手厚いなと思いながら話を聞く。

「転移先はどうしても人気のないところにするしかないので...」

確かにそうか。急に人が現れたらパニックどころじゃないしな。

「転移先は森になるわけなのですが、言ってもcランクの森なのでこの子が護衛になってくれるでしょうし、レベル上げにもちょうどよいですよ。」

「本当に何から何までありがとうございます。」

「え、」

「どうかなさいましたか?」

「コホン!最近送った人々が死んだということに混乱したり、スキルをもっと求めてきたり、脅されそうになったりと大変でしたので」

「オタクは理解が早いのですよ。」

「話がそれましたね。これから転移を行います。何か聞き忘れたことはないですか?一応この子に聞くことができますが、答えられないこともございます。」

「ないです。」

「では最後に、これはお礼なので、あなたの人生です。使命などはありません。

人を殺しつくす、なんてことはやめてほしいですが、自由に生きて下さい。」

視界が光に包まれる。

「では楽しい異世界ライフを」

意識が途切れた。

















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ちょっと神様、転移先かぶらせないでくれます? @sokaidesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ