第49話 異常な魔力を浄化する
ハッコを呼び寄せ、2人に結果を報告する。余分な魔力を浄化した魔鉱石を見せてこれが原因だったと告げた。10㎝位の大きさの
球状に加工した魔鉱石を取り出す。
「気分は悪くならないが、噂に聞くドラゴンの魔石のような魔力を感じるぞ。これでも7割の魔力を浄化したと言うのかね?」
「ええ。これなら魔力酔いすることも無いでしょう。それに、これを使って地下水を浄化する魔法を付与して地中に埋めれば土壌と今は地下に溜まっている分の水は浄化出来るでしょう。そうすれば下流の川も正常になるはずです」
「それは有り難いです。是非お願い致します」
「ただ、問題が有ります。変質してしまったブドウの実は元に戻るかどうかは分かりません」
「はあ……いたしかたありませんねやってみてください」
セルフさんの同意を得たので自然界での普通の魔力量になるまで浄化して、自動的に浄化を止め、又増えたら浄化する機能を付与して地中深く転送した。浄化に使う魔力量は限界ギリギリまで強めておく。地下水に流されないように位置固定魔法を掛けて同位置にとどまる様にしておいた。地上から浄化の様子を魔力探査でモニターする。順調に浄化していっている。やがて浄化を停止した。土壌もブドウの木も正常な魔力量に戻った。
では味は?ダメだ苦い!
「試しに治癒魔法を掛けてみます。上手くいくかどうかは判りませんが……」
「お願いします」
「広範囲ヒール!!」
苦くは無い、無いが……
「美味くは無いな」
バッカスさんが言う。
「申し訳ありません。でもこれが前の状態の味なのです……」
しょんぼりしてセルフさんが
「セルフさんチョット畑の一角を使わせてくれんかな」
バッカスさんが言った。何か案があるようだ。
「婿殿この一角の畑のブドウの木を収納してくれないか」
バッカスさんに初めて婿殿と言われて嫌と言えない圧を感じるトオルだった。
言われるままにブドウの木をマジックボックスに収納すると
「のう婿殿、車中飲ませて貰ったワインのブドウの木を持っていないか?持っていたら10本ほど提供してくれないか?」
「赤ワイン用と白ワイン用のそれぞれ10本ずつでいいですか?」
「おう、気が利くのう流石我が娘の婿殿だ」
トオルは土魔法で畑を耕し元肥を施して赤ワイン用と、白ワイン用の日本の蒲萄の苗を召喚して植えて行く。時間魔法で成長を早めると一旦時間進行を普通に戻して誘引、剪定をセルフさんにお願いした。現地の人達のやり方が有るだろうと思ったからだ。
セルフさんが作業員を集めて手早く作業していく。
その後はセルフさんの指示に従って時間を早めたり、ゆっくりしたりして必要な作業をして貰いながら収穫に適した年数になったところで、セルフさん達にお任せして収穫して、ワイン造りまで持っていけた。そこでワイン瓶10本だけ早目に熟成して試飲する事になった。残りの分は普通の作り方をして貰う。
「ふむ、思った通りこれまでにない味わいの美味い赤ワインが出来たのう。こっちの白も美味い。これは売れるぞ。どうかなセルフ殿」
「はい、本当にその通りです。有り難いです。この事は国王陛下に
お知らせいたします。良ければ王都までご同行下さい」
「そうじゃのう婿殿、お主色々やらかしてしまったから責任取らないとなあ」
バッカスさんの言う通りにしたのに俺のせいなの?と突っ込みたかったが、魔鉱石のことも有るし仕方ないか。まあ味方を作っておくことに否やは無いことだし。行ってみても良いか。
そう決心したトオルだった。
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