第47話 冒険者達の正体
「やあ、君大丈夫だったかい?」
リーダーらしき男が言って来た。
「はい、危ないところでしたが、おかげで助かりました」
俺も芝居を打つ。
「そいつは良かった。俺達はこの辺の魔物討伐を請け負って来ていた【グリフォンの翼】と言う冒険者グループでね、先ほど慌てふためいて逃げて来た御者をしていると言う男に出会って助けを求められて飛んで来たんだ。間に合って良かった」
(ふふ、見え透いた噓を!)
そうか、こいつらあの時の高校生達か、今は冒険者として生きていたのか。だからといって味方とは断定できない。油断せずにいよう。
冒険者の一人が馬車に近付いた。
「あ、駄目です!そのドアに触れないで!」
遅かった。敵意有る者の侵入を許さない結界に触れたその男は、
3m吹き飛ばされて泡を吹いている。
ちらっと馬車の中を見るとバッカスさんは気持ちよさそうに寝ていた。
「今治癒魔法を掛けます」
俺は泡を吹いている男の横に跪くと治癒魔法を掛ける。たちまち回復する男。
俺は後頭部に危険を感じて結界を強めた。
ガキーンという金属音をたてて何者かが吹き飛んで行った。
「この野郎何しやがる、おい、みんなやっちまえ!」
「何しやがるはこっちのセリフだ。お前らの目的は何だ?盗賊にでもなり下がったのか?アクーノ王国軍兵士と結託して!」
「こいつ気付いていやがった!みんなやれ!殺しても構わん。たかが使えない【自給自足】の加護持ちだ。寄ってたかって
俺を取り囲んだそいつらは一斉に剣を突き出し殴り付けてきた。
その度に男共は結界に反射されて吹き飛んでいく。
俺は男共に見せつける為にチョット強めの火炎魔法を奴らが隠れていた大岩目掛けて放った。
ドゴーンと爆発して岩が消し飛んだ。その辺はクレーターになっている。
まだ無傷の男共はそれを見て震えおののき、失禁している。
俺はそいつらと隠れて様子を窺っている御者に化けた男に宣言した。
逃げ出して離れたところから事態を見守っているアクーノ王国軍兵士達にも聞こえるように拡声魔道具で大声で怒鳴った。
「ようく聞け。今回はこれで許すがまた俺や俺の仲間を傷つけようとしたら、その時は絶対に許さない。手足を無くしたほうがいいか?命を無くした方がいいか?ようく考えてどっちかに決めてから襲ってこい!ご希望に応えてやろう!」
俺は白虎のハッコを召喚して馬車ごとハッコの背に乗ってそこを離れた。ハッコの威嚇の咆哮を聞かせると、また全員泡を吹いて白目をむいて気絶していた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アクーノ王国の御前会議
「と言うことで我々王国軍兵士は3割が冒険者によって惨殺され、残った我々は白虎の咆哮によって戦意喪失、気絶させられていました。元勇者候補の冒険者共は全員未だに目を覚ましていません」
「なんと、トオルと言うドワーフめ守護神獣の白虎を召喚獣にしていたというのか!、ならばこっちも残りの神獣をテイムしてしまえ!」
「恐れ入りますが発言しても宜しいでしょうか?」
「なんだ、貴様は間諜のシビックではないか。申してみよ」
「はっ、ありがたき幸せに存じます。あのトオルと言う男、白虎だけでなく他の3神獣まで従えておるようです」
「まさか、信じられん」
「いえ、私が御者に扮していた時に奴が馬と馬車を買う時に朱雀に乗って飛んで行こうか?青龍でも玄武でもいいですよと相棒のドワーフに言っていたのをこの耳で聞いております」
「ムムム、八方塞がりってことか……」
「国王様いかがいたしましょうか?」
「んんん、仕方ない今は大人しくしておこう。が、常時奴を見張って置け、何か役立つ情報を手に入れたらすぐに報告せよ」
「「「「「ははあ」」」」」
まだ諦めていないようだ。
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