第45話 トオルを狙う者
我が国の特産品になるものはないだろうかとサウスパーク王国に相談されてサウスパーク王国の視察に言った時、ずっと南に有る島に飛んで行ってみたらその島の気候が沖縄みたいだったので試しにバナナ、パイナプッル、マンゴーを植えて見たら、それがどんぴしゃり合ってしまった。サウスパーク王国の領土だったので転送バッグを使って本土側からは食料を送って、島から南国果実を受け取っている。決して島の住人から搾取しないで対等な取引をするように言い含めてある。何時でも朱雀が監視しているぞと言っておいた。脅しじゃないよ。単に約束を守れと言い含めただけだ。
そうなると北のエルソル王国からも要請があった。
「我が国の特産品を見つけて欲しい」と。
そう特産品を作ってくれではなく見つけて欲しいと言ったのだ。
これには俺も応えてあげたくなった。
島国であるエルソル王国にはさらに北に領土の島が有って、調べてみるとサケマス、タラバガニ、コンブなどの宝庫であることが判った。サンマは本土の沿岸でも獲れるようだ。冷凍保存の効くマジックバッグを提供する。魚を生きたまま保存できる亜空間バッグも開発して格安で提供した。これなら海の無い内陸国にも販売可能だ。輸出の際に、転送バッグの売り込みをお願いした。定価の3割引きで卸すことを約束して有る。これで俺にも利益が出る。
この世界では細くて網目が細かい合成繊維の漁網が開発されていないので漁業技術はまだ低く、資源が枯渇するような乱獲の恐れはまだ無いが、くれぐれも獲りすぎることのないように釘をさすことを忘れない。
ということが重なってトオルに気に入られると国が発展するとの噂が各国に流れていた。
一方でそれが気に入らない者達も居る。
あの時一緒に勇者召喚された元高校生達である。
本来なら自分達が主人公なのに、なんで巻き込まれて召喚されたドワーフふぜいが良い思いしてるんだ!許せない!
人種差別の気持ちも強い連中だ。
調子に乗ってるドワーフ野郎を痛めつけてやろうぜと同じ思いの
彼等を預かって冒険者教育をしていたアクーノ王国では何とかトオルを手に入れて自国の為に奴隷にしようと企んでいたがひょんなことでトオルに恨みを持つ連中のこと知って利用することにした。勇者召喚されただけあり、5年の軍隊訓練のお陰で冒険者としての実力はメキメキと上達していった。しかし常人と比べての話であって、トオルの強さとは比べ物にはならない。でもアクーノ王国も元勇者候補達もトオルの真の実力を知らない。完全に見くびっていた。
同郷人だと言うことで油断すれば、まだ人を殺したことの無いトオルの弱点になるかも知れない。心配なところでもある。
トオルが隣国に行くという情報が入った。好機だ。アクーノ王国と元勇者候補達の悪だくみが動き出そうとしていた。
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