第34話  3度目のオーガ襲来

お断り

 この小説では日本酒やどぶろくの製造について書いて有りますが

あくまでも異世界でのお話であり、現代日本では許可を受けずに個人で作ることは禁止されております。違反すると罰則が有るので良い子は絶対に真似しないでね。


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  俺達はその村にまだ滞在している。いつまた奴らが襲来するか判らない。罠が正常に作動するのかも確かめておきたかったからだ。

しかしいつも待っているだけでは終わりが見えない。なので今回は敵を全滅させないで、逃げ帰る者を追跡して敵国を叩き潰すか、出来るものならば、話し合いで終結させたい。


 その際、トジノにはこの村に残って貰って、日本酒造りに勤しんでもらう事にした。

 トジノは攻撃力が弱い。その代わり治癒魔法とか浄化魔法、清掃魔法の才能が凄い。どちらも酒造りにはありがたい魔法だ。麴作りには雑菌の繫殖を防ぐ為に消毒する必要がある。お米を洗浄しなければならないのを、清掃魔法で代用できる。普通の人が作る場合には高価なお米洗浄機や消毒装置を設置する必要がある。

今後は魔法を使えない人でも杜氏にすべく教育しなければならないだろうしそのことを考えておく必要がある。

 なので、トジノには人手が必要なら人を雇うように言ってある。給金分のお金も渡してある。


 そうこうしているうちにオーガが襲来して来た。

目論見通り、結界の罠の部分に第1陣の敵部隊が続々と入り込んでいく。

 罠も問題なく機能している。俺達は上空から高見の見物としゃれこんでいる。シュに気配を消すように言ってあるので奴らに気付かれることは無い。

 罠に入り込んだ奴らはブルンの【ドラゴンウインドカッター】で切り刻まれ、ハッコの【タイガーサンダー】に感電し、シュの【朱雀炎】に骨まで焼かれ、ヒメの【広範囲凍結】で凍結されていく。流石に俺の奥の手の隠し技が発動するまでにはいかない。

 それでなくともオーバーキル状態だ。


 約1㎞沖に第2陣第3陣の小部隊が控えている。俺とハッコ、ブルンは朱雀のシュに乗っている。シュに乗っているかぎり敵に気付かれることが無い。完璧な隠蔽能力を有しているからだ。


  時間が経っても第1陣が戻って来ないので不審に思ったのだろう。第2陣の部隊が結界に恐る恐る近づいてどぶろくの匂いに気が付くと一斉に罠の入り口に飛び込んでいく。


  第3陣の部隊長は流石におかしすぎると思ったのだろうしばらくその位置に待機していたが1人も1匹も戻って来ないので退却を始めた。

 俺達は上空から追跡する。ある海域に達すると部隊が消えた。

魔力追尾を継続していると、そこから1000㎞離れた所に同じ魔力が出現した。部隊ごと転移したのだろう。俺達もその上空に転移した。相手の位置座標が判るので可能なのだ。

そんなことを数度繰り返してやっと陸地が見えてきた。

大陸だ。こんな大陸が同じ世界に有ったのか!


 俺達は水竜から降りた兵士達の後を追いかける。途轍もなく大きな城が見えてきた。いくらオーガの城だと言っても大き過ぎる。入り口の扉も高さ15m位は有るだろう。

兵士の後に着いて中に入り込む。

王城で言う謁見室みたいなところだろうか?正面に巨大な椅子が有ってオーガの言葉が俺の頭に翻訳されて入って来る。

『国王様のおなりー』

ドシンドシンと地響きがして身の丈10mも有ろうかと言うオーガが現れた。これがオーガの親玉か?

『ん、ここに知らぬ魔力が存在しておるな、何者だ?』

流石オーガの王だ。シュの気配隠蔽を見破るとは恐るべしだ。


俺達は姿を現した。

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