第32話 オーガが侵略しようとする理由
バジリス王国国王ノブヤス様の話によるとこの国の海の東の果てにオーガの国が有って、7年前にバジリス王国の食糧の強奪の為にウォータードラゴン(水竜)に乗って襲って来た。
その時にこの国を守ってくれたのが成獣である先代の青龍様だったそうだ。
その時に予言を告げられたという。
「我はもう長生きし過ぎた、そろそろ引退しようと考えている。これより数年後にまたオーガの襲撃が有るだろう。その時は我が子が守りに来るだろう。だがまだ幼く非力なるゆえ、他の3神獣がサポートしてくれるであろう。その3神獣を率いているトオルというハーフドワーフと伴侶のドワーフの娘が一緒にこの国を助けてくれるであろう。
とのことだったそうだ。
何で俺の事を7年も前に知っていたのか?全てミレーナ女神様の思いのままということなのだろうか?掌の上で踊らされているってことなのか。
まあいいや、この世界に来てから選んだ選択肢に間違いは無かったと思うし、自分が選択したことに自信を持とう。たとえそれが女神様のシナリオ通りであったとしても。
それでこの先どうすればいいのかということだが、何時敵が攻め込んで来ても通さぬ結界を張って、敵の攻撃を反射する機能を付与しようと思う。幸いドラゴンの魔石とレッドワイバーンの魔石は売らずに取って置いたし、それだけで足りなければジャイアントホワイトモンスターベアの魔石とサファイアメタルレオパードの魔石も有る。これらを使えば、防御だけでなく攻撃魔法も付与出来るだろう。
それでも足りなければどこかの
今日手に入れたウォータードラゴンの魔石も2個あるしね。
「ところでオーガ共が狙う食糧ってどんなものなのですか?」
向こうだって海が有るのだから海産物には困らないだろうし、とするとパンとかかな?
「それが1番謎なんですよ。この国のオーガは魔物の肉が主食だと言われています。もしかしたらオーガの国には魔物が少ないのではないかとも考えられるのですが、捕虜にしたオーガの死体を解剖したところ、胃の中は空っぽだったとの報告を受けています。まさか霞を食っていたのではと冗談も出る始末でした」
「いや、あながち冗談とも言えません。この子たちは僕の魔力を吸収して成長していますからね」神獣達を撫でながら言った。
でもまだ解らない。いったい何の魔力が必要なのか?そもそも魔力が必要なのか?
会食の時間になった。この国では時間停止のマジックバッグが使われていてどこで買ったのか訊いたらダンジョンの宝箱で手に入れたのを買ったのだと言う。値段を聞くと俺がカンセコ領に売った値段の10倍していた。
俺が自分で作ってその値段の10分の1で売っていると言うと驚かれ、是非売って欲しいとせがまれた。
カンセコ領に売った8億デルで交渉すると10袋買いたいという。
そこで転送バッグを取り出して沿岸の集落に居る警備隊と手紙のやり取りを実演して見せ、集落から何か送ってくれとせがむと陶器に入った白い酒を送って来た。お返しに日本酒を10本送り返した。勿論隊長さんのあまり飲み過ぎるなの注意書きもつけてね。
さて向こうから送られて来たお酒はというと
「どぶろくよ!もしかしたらオーガの狙いはこのどぶろくなのかも知れないわ」
トジノが言った。
この国でも清酒は無かった。ただ地方の田舎ではその土地に古くから伝わるお酒が有るのだろう。
この集落にはお米が栽培されているのだろうか?
ヤピン王国の船が漂着するなりしてブラウングレインが伝わったのかも知れない。1度あの集落に戻って確認しないといけないな。
【鬼の宴会】、日本の昔話では鬼たちが酒盛りしているイメージがある。ファンタジーではオーガが酒盛りしていても不思議では無いだろう。その酒はワインなのか?蜂蜜酒なのか?もしかしたら口の中で米を噛んで吐き出して置いておく口噛み酒なのか?
俺は鬼にはどぶろくがよく似合うイメージがある。【オーガだって鬼なのさ】うん、名言(迷言)だな。
「なら実験して見ましょ」
トジノが軽く言う。どぶろくならお酒造りが大好きなトジノなら作り方を知っている筈だしどぶろくの匂いにオーガが集まってくるようならどぶろくが狙いなのかも知れない。
それに俺が子どもの頃、飲兵衛の大人が「酒は空きっ腹で飲むのがうまいんだ」と言ってるのを聞いたことがある。オーガにもそう言った酒飲みのこだわりがあったのかな?と思う。
国王様達はと言うと清酒に夢中だった。
酒蔵が成功したら、この国にも絶対に売りこみにこよう。
俺はトジノに米麴と精米した白米を渡しておいた。時間を進める必要があるんなら遠慮せずに行ってくれと告げて置いた。
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