第21話 こちらドジ亀です
助け起こした亀は
「あたしは玄武よ、よろしくね。ミレーナ女神様みたいな魔力を持っているお兄さん」
そう、あの気になった魔力の持主はこの亀だったのだ。
「ところでお前は何でこんな所でひっくり返っていたんだ?ドジなのか?」
「失礼ね、こう見えてもあたしは世界を守護する4神獣の1体の玄武よ。まだ生まれたばかりだけどね。卵から孵ったと時に卵がひっくり返ってそのままの状態でこの世界に落されたのよ。あたしのせいじゃ無いわ」
「あ、そ、でいいことが有るって言ってたけど、どんないいことがあるのかな?」
「えへん、神獣であるあたしと契約出来るのよ」
「あ、そ、怪しい契約はするなって爺ちゃんが言ってたから、さよならドジ亀」
「あん、待ってよ、こんな可愛らしい
「ああ、そうだよ鬼とか悪魔に拾われても怖いだけだろ、じゃあな」
「あん、ごめんなさい暴言でした。謝ります。だから捨てないで!」
「で、契約ってどんな契約だ?力をやるから魂をよこせっていうような契約ならお断りだぞ」
「そんなんじゃ無いわよ。私が1人前の神獣になるまであたしを養ってくれたら、貴方の守りたい村や町や国や世界を守ってあげるわ。でも、あたしだけでは北しか守れないから他の3方を守る白虎、朱雀、青龍を紹介してあげるわ」
どこまでが本当なのか判らないがなんか退屈しなさそうなので飼ってみることにした。
「ところでお前の名前は何と言うんだ?玄武って種族名みたいなもんだろ」
「あんたが考えて、可愛い名前がいいわね」
「ところでお前は女の子なのか?」
「決まってるでしょ見た目通りの可愛い女の子よ」
「そういわれても亀の男女の区別なんか判らんし可愛らしさの判別もできないしなあ。ドジ子とかドジ美ならどうだ?」
「却下。何でドジを強調しようとするのよ」
「我が儘だなあ。亀といったら竜宮城とか乙姫様だろう……そうだヒメならどうだ?」
「うんうん、ヒメねいいわそれでよろしく」
その瞬間天の声が聞こえた。
『神獣と契約がなされました。トオルは北の神獣玄武のヒメを契約神獣にしました。』
本当に神獣だったのか。
「でヒメは何を食べるんだ?霞でも食うのか?」
「誰が仙人よトオルと同じものがいいわね」
「それじゃ昼飯にするか」
俺は作り置きの料理を出した。
久々にがっつりとステーキが食べたくなってレッドワイバーンのステーキとわかめの味噌汁にした。
ヒメの食欲も旺盛だった。小さな体で大人1人前の量を残さず食べきった。何処に入ったのかな?
それから仲良く口喧嘩しながらカンセコ領に急ぐ。転移で跳んでもいいんだが旅仲間とヤイノヤイノ言いながら歩くのも新鮮だったので時々走って歩いて、あっと言う間にカンセコ領に着いてしまった。
ダリス領主様の館を訪れて会いたいことを伝えると、料理長のスザーナさんに捕まってしまった。
「やっと私に会いに来てくれたのね。マイダーリン」
ヤバイ、この人が居たんだっけ!。
「ちょっとおばさん、あたしのトオルに馴れ馴れしく触らないでよね!」
「エッ誰?」
俺の頭に乗っかって居る亀のヒメに気付いてビックリしたスザーナさんだったが、なんか闘志に火が付いたようでヒメと口喧嘩を始めた。
「何よ、あたしのって亀の分際で生意気な!トオル君は私のものよ!」
いえ、違います!俺は誰のものでも有りません。
「お婆さんはすっこんでなさいっ、トオルにはあたしみたいな若くてプリティーキュートな可愛い子がお似合いなのよ」
「だ、誰がお婆さんヨこの生意気な糞汚亀‼」
スザーナさんが俺の頭の上のヒメに手を伸ばした。
「防御サンダー」ヒメが唱える。
電撃が走る。スザーナさんが手を押さえて転げまわる。
「ヒメ、俺の頭の上で雷魔法撃つんじゃない!俺の髪が無くなったらどうしてくれる!」
「ご、ごめん。だってこの婆があたしに手を出そうとするから正当防衛よ」
1人と1匹のやり取り見てると、なんか苦労する未来しか見えない。
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