第16話 転送機能付きマジックバッグ試用してみる

 転送機能付きマジックバッグの試作品が5個出来たので1個は俺、他のは村役場(村長さん)、商業ギルド(ギルマスさん)、冒険者ギルド(買取所)漁業者ギルド(魚市場、販売部)に持って行って使い方を教えて来た。


 因みに、受け取る方が予め受け取り許可を出しておかないと転送出来ないようにしてある。あっちの世界のように時限爆弾なんかが勝手に送られてきたら拙いからね。だから前もって手紙を送って了解を得ておかないといけないのだ。


村長さんとは手紙のやり取りだけしておいた。試食会の日時を

教えて貰う。3日後午前10時か、良し良し8時半には先乗りして準備をしておいた方がいいかな。


商業ギルマスには黒瓢箪と味噌の実のサンプルを送っておいた。


漁業者ギルドから今朝獲れたばかりの魚介類を送って貰ったが活魚は送れないと伝えて来た。ホタテやサザエは大丈夫なのに生きた魚は駄目みたいだった。

マジックバッグには生き物は入れられない。貝は植物扱いになるのだろうか?良く分からないルールだなあ。

生き物を転送するには亜空間を作ってそこに入れて亜空間ごと転送すれば良いのだろうか?

後で試してみよう。


 診療所に寄って転送バッグの話をしたら診療所にも欲しいと言ってきた。

急な患者に効果の有る薬やポーションを送ってくれたら有り難いと言うのだ。

予備に作っておいた1個を進呈する。人の命に係わる物でぼろ儲けする趣味は無い。

 1時間だけ治療の手伝いをしてから役場に戻って村の近くの土地を買って家を建てたいことを伝えたらその辺はモスタの森の範囲内なので自由に開拓しても良いと言われた。近い将来この辺まで開拓することになるはずだと村長さんは言う。女神様のお告げが有ったそうだ。

 俺には何も言ってこないんだけどどうなっているんだろう。

なんにせよ自由に土地を使って良いと言うのは有難い。早速2DK風呂トイレ付きの家を作った。今度はベッドは村で購入することにした。

ほんのわずかだけど村にお金を落しておいても迷惑にはならないだろう。

ということで、テーブルやソフア、食器類を買って来た。ベッドはこの村の店で入手出来る最高級の物を仕入れるから少し待ってくれと言われたので、もしこっちの家で泊まるようなな事が有ったらと思って毛布を買っておいた。ベッドが来るまでソフアで寝るつもりだ。

いやいや森の家で使っているベッドをマジックボックスに入れておけばいいだけの話だな。


宿泊客が有った場合を想定して2DKの1部屋を空けて置く。泊まる人数によってベッドを増やしていけば良いだろう。

土足でリビングとか寝室に転移するのは嫌だから、玄関内に土足

で入れる転移スペースを作っておいた。森の家も同じように作って置いてある。

では、森の家に転移してみよう。行って帰って来ると森や道に転移するより安心する。家を建てて良かった。


今日はこっちの家で泊まって手直し工事が必要かどうか確かめて使い心地を良くしておこう。

明日は移植した苗木の世話をして、播いた種の様子を見てこよう。


ワ村から持ち帰った苗や播いた種子は順調に育っている。念の為に村外れの家に畑を作ってそこでも育つのか確かめたい。

なにしろ、ワ村にだけしか自生していなかった植物なのだもしもここでも同様に育ったならよその土地でも育つ可能性がある。もしもこことワ村だけでしか育たないのならその原因を究明したい。


言ってなかったがワサビは川に流れ込む沢に自生していたもので

アテルイ村でも薬味に使っていなかった。あの沢まで来て持ち帰るにはAクラス以上の冒険者でもないと無理だろう。この森は魔物との遭遇する率が高いのだ。


その魔物討伐討伐目的で泊まり込みで遠征して来る冒険者もいるので冒険者ギルドも有るし、宿屋も潰れずに経営出来ている。時々【胡椒の実】を持ち込む冒険者も居て商業ギルドが買い取って大きな街や王都へ出荷していたのだった。高価で売れるのでギルドの経営も出来ていた。

そこへ俺が来て、売り物が増えた。人口約300人の村にしては異例な優良経営状態だと感謝された。

最初にこの村に来た時に良好な人間関係を築こうと人物鑑定で相手の好みの人間性を演じていて正解だったと今更ながら思っている。ある意味ではズルしているのだが許して欲しい。

商業ギルドのギルマスは知ったかぶりの小生意気なガキが大嫌いで、うぶで素直な子供が好きらしくて庇護欲をそそられるらしかった。なので俺は商売の事を何も知らない子供を演じた。予想通りギルマスは相場の価格を示して、今後の持ち込みの注意点を教えてくれたのだった。

でもまあ、そのことは死ぬまで内緒にするつもりだけどさ。

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