第14話 ご飯料理

 ピロンと女神様からのメールが来た

『君のマドンナ・ミレーヌ女神よ。条件が達成されたので新しいスキルが解放されたわ。【???】が【日本製の調理器具の召喚】と【作った料理の複製】よ』


 どんなものか調べてみたら魔力で動く精米機や炊飯器、電子レンジなどがデルと交換出来る様になった。玄米を見付けたことが達成条件だったみたいだ。

 試しに米を炊いておにぎりを作ったら次からは無制限で複製できる様だ。夕食の試食会の為に醬油焼きおにぎりと味噌焼きおにぎりを余分に複製して置いた。レッドワイバーンのステーキ丼も1万個複製したら魔力が切れそうになった。無制限じゃなくて魔力量で複製出来る量が決まるようだった。


 ジャガバタ―醬油はスザーナさんだけでなく調理部スタッフ全員が作れるようになっていた。これなら練習すれば屋台で売れるくらいには出来そうだ。」


 いよいよ夕食の時間だ。

本日のメニューはレッドワイバーンのステーキ丼・にんにく醬油タレで。(俺製)


鍋料理を作る予定だったが、米を入手出来たことで予定を変えて以下の通りのメニューにした。


黒ソイのお吸い物。(スザーナさん製)


ホウボウの味噌汁 (俺製)


ジャガバタ―醬油 (調理部スタッフ製)


醬油焼きおにぎり (俺製)

味噌焼きおにぎり (俺製)


サラダ (調理部スタッフ製作。サラダ胡麻ドレッシングは俺提供)


マグロ大トロ刺身 醬油、ワサビを添えて。(俺製作。)


 この世界では刺身は食べられている。但し海の有るアテルイ村限定だがマジックバッグが普及すれば内陸でも食べるようになるだろう。

 その証拠に今ここに居る人達は美味しい美味しいと言ってパクついている。


 さて商談の方は商人のミラネルさんが食いついてきたのが米だったという事実。ミラネルさんが売っていた玄米はブラウングレインと言って脚気かっけの治療薬として売られていたもので白米にして食べるものだとは思われていなかった。

だから白米にして炊いた米の美味しさに驚愕していた。

茶色いあの穀物がどうすればあのピカピカの白米になるのか是非是非教えてくれと怖いくらいの勢いで縋って来た。

ボンキュッボンのお姉さまに縋られるなら嬉しいけどボンボンボンのおっさんに縋られてもねえ……

「判りました判りましたから離れて下さい」

 俺は精米機と炊飯器を取り出して買い占めた玄米を10㎏精米して見せた。残った糠も色々役に立つものだと言ったが、俺の場合はぬか漬けに使ったり、肥料の原料にする予定だ。

 早速精米した米を研いで、給水させて炊飯器にセットして炊いて見せた。

炊飯器が無くても炊けるけど、俺はあまり経験が無いので炊飯器頼りだ。

 炊けたばかりのご飯を食べさせてみた。

「おお、あの薬に使っていた穀物がこんなに甘みの有るもちっとした食感の食べ物になるなんて目から鱗が落ちる思いです。美味しい美味しい」

「でも、この白米の御飯ばかり食べていたら脚気になってしまうので、豚肉とか、時々玄米ご飯を食べるようにしてくださいね」

と忠告しておいた。

「なんと病気になる原因も御存知とは!いやはや恐れ入りました」

「お酒の飲み過ぎも脚気になる原因らしいですから注意して下さいね」

ドキッと言う声が聞こえてきたのは気のせいだなきっと。


「ところでこの機械を売って頂くことは出来ませんかな?」

「うむ、我が家にも有ったら便利だな。なあスザーナ」

「は、はい。ご主人様」

機械を召喚した時の金額が30万デルだったので1セット100万デルではどうかと吹っ掛けて見た。

「おお、それで売ってくれとすんなりと商談成立した。

今度はこっちから玄米を売って貰う番だ。

取り敢えず次は新米ならぬ新玄米を1トン欲しいとマジックバッグを渡して言った。そしたら今度はマジックバッグを売って欲しいと懇願された。その様子を見ていたスザーナさんが領主様に進言した。


「御主人様、入れた物が腐らないマジックバッグが有ればお魚を毎日でも食べれますですね」

「うんそうだな。それでも誰かが海まで行って仕入れてこなくちゃならぬのはいまいち不便だのう、なあトオル君、これに物や手紙を転送する機能は付けれないものかな?」

御領主ダリス様の一言に新しい目標が出来てしまった。

目指せ、転送機能付きマジックバッグ開発だ。


「努力してみます」

そう答えておいた。

「それが出来た暁には私にもお譲りください」

「はいその時は下取りサービスしましょう」

「へっ、したどりさーびす?」

ポカンとするミラネルさん。

「いえ、こちらのお話です。新しい物を売る時に古い物をこちらが買い取ってお安くお売り出来るということです。

「成る程、それはまた画期的な商売方法ですなあ。トオル君、君本当に13歳ですか?なにか大人の商売人と話しているみたいな気がしますぞ」

ギクッ、ヤバイヤバイ

「ははは、それは盛大な勘違いですよ」

(中身が大人なら年の差気にしなくてもいいわよね、犯罪じゃ無いわよね、トオル君、ハーフドワーフだと言っていたから。案外当たっているかも)

スザーナさんの瞳がキラッと光ったような……。

「それじゃあ研究してみますので今日はこれで失礼します」

身の危険を感じた俺はそそくさと領主邸を出てアテルイ村に転移した。村にも自分の家が欲しいな村長さんに相談してみよう。


レッドワイバーンは俺が肉の3分の1を確保して残りの肉を領主さまとミラネルさんが買うことになった。魔石は俺が確保して他の素材はミラネルさんが買ってくれることになった。冒険者ギルドの買値より高かった。手持ちの現金が少ないので商業ギルドのカードに振り込むと言う。そんな便利な機能が有ったのか。今更ながら気付いた。いつもは現金を貰ってマジックボックスに収納していたから、それが普通になっていたのだ。

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