第11話 ワイバーンのお出迎え

ワ村には料理長のスザーナさんが同行してくれている。スザーナさんはワ村出身だそうだ。

「トオル様、有難う御座います。お陰様で久し振りに里帰り出来ます」

嬉しそうだ。

「いえいえどういたしまして。でも様はよして下さい。僕は13歳の小童こわっぱですよ」

「たとえ13歳でもドラゴンを倒せるし料理も良く知っているし、尊敬に値するわ、でもそうね、じゃあトオル君ならどうかしら?」

「それでお願いします」


大分打ち解けて色んな話に花を咲かせているうちにドラゴンの話

になった。


「この辺はドラゴンは良く出るんですか?」

「今回襲われた街道には出ることはなかったわ。出るとしたらワ村を越えて100㎞先の【竜の寝床山】くらいかしら。それも1000年前の昔話のお話よ」

(なにそれ?あの冒険者のおっちゃんがフラグを立てて呉れちゃったんかい)

心の中で盛大に突っ込んでいるとワイバーンの群れが飛んで来た。街の方に向かっている。

「大変あんな群れが街を襲ったら!」


「じゃあここで撃ち落としてしまおう」

俺はスザーナさんに防御の結果を張って

指弾の3ミリ球を連続してワイバーンに放った。

頭を砕かれたワイバーンが次々落ちて来る。マジックボックスに収納していく。15匹倒した時に群れのボスなのか一際大きな赤い個体がはるか上空から急降下して来た。

「キャア、レッドワイバーンよ、気を付けて!炎のブレスを放ってくるわ!」

「スザーナさんは結界で守られているから大丈夫ですよ」

俺は5㎜球に変えて指弾攻撃を放つ。


バツバツバツとレッドワイバーンの頭やら翼を穴だらけにして撃ち落とした。胴体は敢えて狙わなかった。肉の中に鉄球が入り込んでしまうと肉にかぶり付いた時に歯を壊してしまいかねない。

どれだけ食いしん坊なんだ!って話だけど。鑑定で【フアイア―ドラゴンに匹敵する上品な旨味を有する高級肉】って出たんだもの仕方ないよね。

もっともフアイア―ドラゴン食べた事無いけどね。


『ドラゴンとワイバーンの群れを討伐したことでレベルが30に上がりました。新しいスキル獲得しました。【レシピ転送】と【???】です。【???】については発動条件が満たされた時に使えるようになります。

【レシピ転送はスマホで検索したレシピを錬金空間に転送して材料を揃えなくても作成出来ます』


嬉しいスキルが手に入った。【???】は置いといて【レシピ転送】を試してみたい。作りたいのは某有名メーカーのカレールーだ。果たしてメーカー製の製品を作れるかどうか、やってみたいのだ。

後で実験してみよう。コンソメスープの素も作りたい。1人になってから実行しよう。


何故、材料が無くても作れるのか疑問に思ったら

『この世界の空気中に含まれる魔素は魔法を使うのに不可欠な物ですが、この世界のあらゆるものを創っている元素なので、魔素をコントロールする事で物を作り出せるのです』

と答えが返って来た。俺は物理学者じゃないので俺に判りやすく言ってくれたのだと納得した。

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