第6話 ポーション作りに励む

別れ際にドクタンさんから虫歯の治療薬と歯槽膿漏の治療薬を作れないかと相談された。

森の中にそういう植物が自生していないか探しに来ている。

あちこち探し回ってポーションのガラス瓶を作るのに必要な石灰と水晶で出来た山を見つけて採掘してマジックボックスに収納して置いた。ソーダ灰は海水から作ろう。


問題はコルク栓だがこれも森の奥にコルク樫という木がみつかってその皮を剥いで加工すれば良い事が解かった。但し最初に剝いだものは品質が悪いので剝いだ後に再生した皮を使うのが良いとされているらしい。なので時空間魔法で時間を進めて品質の良いコルクの皮を手に入れて置いた。

品質の悪い物でも細かく粉砕して、接着剤で高圧で固めればコルク栓に使えるようなので、捨てずに錬金空間に保管しておく。

後で錬金術でガラス瓶とコルク栓を製作しようと思う。


 肝心の歯の薬の果実のなる木を探し当てた。高さ20mの天辺にミカンの実にそっくりな果実を付けている木がそうだった。但しオレンジ色の実と、水色の実が5個ずつ生っていて鑑定するとオレンジが虫歯の薬。水色のが歯槽膿漏の薬になることが解かった。名前は【デンタルメデイスンフルーツ】と言うそうだ。


これもだけど、魔物の名前もなんか英語っぽいんだけど誰が名付けたんだろう?


果実の皮を剝くとミカンそっくりな房が10個有って1房から2本のポーションが出来るみたいだ。

これだと200本ずつしか作れない。

足元を観察するとこの木の若木がそちこちに生えていた。


高さ50㎝くらいで樹齢10年だという。親木の樹齢は何と250年だった。

俺はその苗木を根を切らない様に土ごとマジックボックスに収納していった。家の畑に移植して色々実験するつもりだ。


 まず樹齢何年で実を付けるのか知りたい。

高さ20mの木の天辺でなく、もっと低い枝に実は生らないものか?

 更に問題はこの木は雌雄別で近くに植えないと受粉出来なくて実がならないようなのだ。

 時間魔法で時間を早く進ませると雄の木が雌の木よりも早く花を咲かせるようだった。但し、樹齢100年ごろから雄雌同時に花を咲かせるようになるので蝶や蜂だけでなく人工授粉も可能になる。

樹高を押さえるために選定が必要になる。枝を横方向に伸びる様に仕立てれば樹高2mでも1本の木で約300個の果実が収穫出来る様になった。品質を保つためにも生育の遅い果実は摘果しないといけないようだ。色々と余計な作業が必要になるが品質の良い薬を作るためには必要不可欠なのだ。


次に村の診療所に行くまでに前回の治癒治療に必要なポーションも作って、虫歯治療ポーションと歯槽膿漏治療ポーションを沢山作っておいた。


胡椒の木の実は何時でも収穫できる様だ。こっちは自然のまま放置しておくだけでいいので大助かりだ。


それでも近くで収穫したいのでこれも苗木を移植させるために畑を拡大した。


 家庭菜園の野菜は時空間魔法で種を播いてから1日2日で収穫出来る様になった。忙しくなるのは嫌なので、播く種の量は控えめにしてある。ただ、ジャガイモと玉ねぎとニンジンは色んな料理に使うので多めに作ってマジックボックスに収納してある。キャベツもそうだ。サラダにも野菜炒めにもスープの具材にも利用している。次は米を探そう。この世界のどこかに有ると期待して。

 そうこうしているうちに1カ月たった。村に行かなくてはならない。

 以前行った時は【ワニトカゲ】はあまり美味くないので人気が無いということだったので自分で料理してみた。ワニ肉と言えば鶏肉と似た味だと聞いたことが有るので唐揚げにしてみた。肉にしっかりと下味をつけて2度揚げすると結構美味く食える。

今回はこれをお土産に持って行こう。この世界でも植物性の揚げ油が有るのでそれで揚げている。値段的には魔物の油脂が安くて、菜種油などは高級品の部類に入る。だけど冷めた時に油脂が白くなるので魔物の油は殆ど使わない。

 もしかしたらレシピの提供を求められるかもしれないと思って、そこんところを強調して書いておいた。


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