第2話 能力を試してみよう

僕は歩きながらあらゆるものを鑑定していった。その中で胡椒の木を見付けた。1本の木に白いリンゴの様な果実と黒い果実が実っていて色に合った胡椒の粒が果実の中にびっしりと詰まっていた。緑の実も有ってそれはまだ未熟だった。収穫して常温で追熟させると白や黒になるが、木で完熟させたほうが断然品質が良く、高価で取引出来るようだ。

錬金術でその辺の土と、木の枝ですり鉢とスリコギをつくって白黒半々でコショウの実を粉にした。その粉をサンプルにしたら次回からは実を錬金空間に入れると自動で粉にすることが出来た。

土を鑑定すると【塩分濃度の濃い土】と出た。試しに錬金空間で塩分離を試したら綺麗な塩が出来た。その日の夕食は塩コショウで味付けしたホワイトホーンラビットのステーキを堪能出来た。

鑑定していると鉄鉱石やら銅鉱石、金鉱石、銀鉱石、少量ながらもミスリル粉も見つかった。

男の子の憧れのミスリルの剣を錬金術と鍛冶職人を併用して作ってみた。圧倒的にミスリルの量が少なかったので鉄鋼の芯にミスリルメッキしたものが出来上がった。切れ味は鎌や手斧よりも抜群に良かったので、鎌と手斧はマジックボックスにしまって剣をメインにして使っていると森オオカミも難無く倒せるようになっていった。


レベルも8になって剣術のスキルに【鎌鼬】が加わった。剣を振ると攻撃相手に目に見えない真空の刃が生成されて相手の身体を

切裂くことが出来る様になった。今はまだ有効範囲は僕を中心にして半径10m位だが。使っているうちにもっと広範囲を攻撃出来るようになるだろう。そのうちに鎌鼬じゃなくて【ワイバーンスラッシュ】なんて名乗れたら良いな。

なんて考え方も13歳相当になって来ている。


若返った身体は素晴らしい。加護のおかげで疲れ知らず。村への道中沢山の魔物や猛獣を倒してマジックボックスに収納していく。

村への贈り物に成ればいいなと思う。自分用の肉は解体して置いたが、死体を見せたほうがいいと思うものは解体せずに入れて置いた。魔物の森に住む資格がある事を証明したいのだ。

村の東は海だった。小舟が沢山繋がれている。海の幸が食べれそうだ。


村役場は小高い丘の上に有った。津波とか嵐の時の避難所にもなっているらしい結構大きな建物だ。看板を見ると漁業者ギルド、冒険者ギルドも入っている。合同庁舎みたいな感じだった。その丘から見ると民家は100軒位。漁業用の番屋が20軒ぐらい建っている。

俺は女神様から貰った紹介状を見せながら受付のお姉さんに村長さんに会いたいと告げた。

「君この紙に必要なことを書いて。字は書ける?」

「はい、書けます」

ここへ来る前に字を書く練習はしてある。なかなか綺麗な字を書けてると思う。

「これでいいですか?」

「はい、えっ凄く綺麗な字を書けるのね。君トオル君13歳か、成人したばかりなのね。役場に勤める気はない?」

「いいえ、国王様から魔物の森の開拓をせよと命令されて来ましたので」

「ええーー‼魔物の森の開拓!!」

お姉さんが騒ぐので皆がこっちを見た。

「こら、ティファニ何を騒いでいる!」

「あ、村長、済みません。この少年が魔物の森の開拓を命じられて来たと言うので驚いてしまいました。あと、この紹介状を持って来てます。村長さんに面会希望だそうです」

「そのことを先に言いなさい」

村長さんはミレーヌ女神様の紹介状を読みながら頷いたり、こっちを見たりしていたが

「トオル君、君、魔物を倒したことは?」

「有ります。ここに来るまでに倒した魔物をマジックボックスに入れていますが見ますか?」

「ああ是非見せてくれそこの床に出してくれ」

俺は大型の魔物から出していく。

「キャー、ワイルドベア!」

又ティファニお姉さんが騒ぐので皆が集まってきた。

次に出したのはマウントディア、大きな鹿だ。そしてストロングバード、巨大な魔鳥。唐揚げが美味そうだ。

そして次のを出そうとしたら止められた。


「待った待った、まだ入っているのか?」

「ええ、ウルフが80匹、ワニとかげが50匹。それから、

「判った判った。君が強いことは充分に証明出来た。この後隣りの冒険者ギルドに行って登録してこれらを売っていってくれたまえ。ちょうど今食肉が不足気味なんだ。全部売っていってくれると、とても助かる」

「判りました。で、魔物の森に住んでも構わないんですよね」

「おお、大丈夫だ。出来れば月に1度森で狩った魔物や野獣を売りに来てくれると有り難い」

「了解しましたじゃあ冒険者ギルドに行ってきます」

「あ、帰りにまた寄ってくれ、許可証を作って置く」

「はい、行ってきます」



隣りの冒険者ギルドに行って冒険者登録をした。実技試験で魔法以外の近接戦闘能力を見て等級を決めると言う。

俺は剣を選択した。

剣術を習ったことが無いので我流だが身体能力が高いので(怪力、俊敏)で難なくCクラス冒険者で登録出来た。

クエストをこなしていくうちに直ぐに昇級出来るだろうと言われた。そして漁業者ギルドに行って個人で趣味で釣りをしたいが大丈夫か確認した。大漁で売る時の為に資格登録しておくと良いと言われた。ホタテ、カキ、アワビ、アサリ、サザエ、ハマグリ、ツブ貝やエビカニ、ウニなど個人で食べる分なら捕っても良いが、売る時は資格が必要らしい。

さっそく登録して役場に戻った。許可証を貰って、ついでに森で採れた胡椒を見せて商業ギルドとか農業ギルドとかは有るのか聞いてみたら商業ギルドに持って行ってみろと言われた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る