第2話 ブルーウルフ

 私はライチ。十五歳。肉食系女子。


「誰か一緒にブルーウルフ討伐いこうよ」

「お、ライチか。いってやってもいいよぉ」

「しょうがないにゃぁ」


 シチリアとメーラの二人だ。

 シチリアは魔法使いでヒールも少し使えるらしい。

 メーラは猫獣人ちゃんの剣使いだ。


「やった、頼んだよぉ」

「うんっ」

「にゃぁ」


 三人で王都の西門から出て森へと入る。

 ここが王都の森だ。


 ブルーウルフは南の平原よりも西の森に多く棲んでいる。


「おおいぉ、ライトキノコみっけ」

「ナイス、シチリア。いいね、ブルーウルフと一緒に炒めて食べようか」

「にゃにゃ、早く食べたいにゃあ」


 森は鬱蒼としていて、なんとなく暗い。

 たまにブルーウルフが潜んでいて、暗闇から飛び掛かってくるので注意が必要だ。


「エリアサーチ、ふぅん、ブルーウルフは二時方向ね」

「ありがと、シチリア」

「にゃにゃ、シチリアは便利にゃあ」

「あはは」


 そうやってブルーウルフにだいぶ近づいた。


「そろそろだわ」

「うん」

「にゃあ」


 ガルルルル。


「きたにゃあー」

「行くわっ、!」


 私とメーラがまず飛び出してブルーウルフに攻撃を加える。

 まだ軽傷だがダメージを与えられた。


「んんん、ファイア」


 シチリアの魔法が火を噴いた。

 ブルーウルフの横腹に命中、火だるまにする。


 キャウウウウ。


「とどめよぉ」


 私とメーラがラストアタックを決めた。


「倒した!」

「やったにゃあ」

「できたね」


 さっと火を起こす。

 薪を適当に拾ってきて、それにファイアの魔法で火をつける。


 横で解体をはじめる。

 新鮮なうちに内臓を取り出して、串に刺して火で焼いていく。


「ブルーウルフの肝焼きじゃあ」

「にゃうにゃう」

「うふふ、みんな好きね」


 シチリアがちょっと呆れている。

 その間に解体を進めてしまう。

 火の番はメーラだ。

 たまに串をくるっと回転させて向きを変えている。

 薪を足したりして火力調整もお手の物だ。


 ちなみにブルーウルフは普通、団体で行動するが、一匹にダメージを与えたときに他の個体はみんな逃げていった。


「あちち、うみゃあ」

「ふーふー、おいち!」

「美味しいですね」


 ちょっと癖がある肝だが、持ち込んだ塩胡椒で味付けしてある。

 間に挟んであるライトキノコも美味い。


「よし、解体も終わり!」


 残りを解体してマジックバッグに入れる。

 立派な毛皮が手に入った。高く売れそうだ。


「んじゃ帰りますかね!」


 森を通って戻る。西門を通り、冒険者ギルドへ。

 ギルドで毛皮と骨などを売り払う。


「んじゃ勘定よろしく」

「まいどありがとうございます」


 ギルドのお姉さんはいつも丁寧だ。


「んじゃ、ささっとやりますかね」

「一緒にやりましょ」

「うん」

「にゃあ」


 みんなで残りのウルフ肉を処理していく。

 一口サイズに切っていく。

 塩水につけて洗う。

 十分しみたら、それを並べておく。


「ドライ!」


 乾燥魔法だ。生活魔法の一つだ。

 お肉から水分がみるみる抜けていき、カラカラのジャーキーの完成だ。


「それじゃあ三等分ね?」

「ありがとう」

「ありがとうにゃ」


 一つかじってみる。


「おいち!」


 しっかり塩味が効いていて、肉の旨味もある。

 いい感じのウルフ肉ジャーキーが出来た!


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肉食系令嬢。お肉は美味しいですわ 滝川 海老郎 @syuribox

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