肉食系令嬢。お肉は美味しいですわ

滝川 海老郎

第1話 ホーンラビット

「おじさん、肉串一つ!」

「あいよ」


 王都の露店で肉串を一つ購入する。


「おいち!」


 私はライチ。十五歳。女の子。

 何を隠そう「肉食系女子」である。

 実は男爵令嬢だったんだけど、お肉を食べるため冒険者になって王都に出てきた。

 今は宿屋暮らしをしてちょっとずつお金を貯めているところだ。

 いい武器でおっきなモンスターを狩って食べるのが目標なの。


「やっぱりお肉よねお肉!」


 もぐもぐ。


 王都伝統の甘辛いタレ。

 魔道コンロでこんがりと焼かれた香ばしい焼け目。

 中から溢れてくる肉汁。


「もう一本!」

「はいはい、まいど」


「ぉいち!」


 ホーンラビットは王都平原それから王都の森にも広く生息していて、供給量が多い。

 タンパクな鶏のモモ肉のような味ではあるが、タレをつけて食べるととても美味しい。


「よし、午後はお肉狩りに行こう!」


 門を通って外の王都平原に向かう。


「ていやぁ」


 たくさんいるホーンラビットの一匹に狙いをつけてナイフを投げる。

 見事に命中して、ホーンラビットは倒れていた。


「いしし、お肉ゲット」


 茶色いのと白いのといるが、今いるのは茶色だ。

 頭のおでこには白いユニコーンのような角が生えている。

 この角も民間薬として広く使われているので、冒険者ギルドへ持ち込めば売れる。

 その場で解体していく。


「よし、角とお肉と毛皮でしょ。よいしょ」


 みんなマジックバッグに入れてほい完了。

 門を通って大通りを歩き冒険者ギルド南門支店へと進む。


「ホーンラビットの角と毛皮、あとアラを買い取ってください」

「はーい」

「よろしくね」

「はい、お金」

「ありがとうございます」


 お肉が一番高いんだけど、お肉はみんなで食べるのだ。

 南中央公園へと急ぐ。


「みんな、おまたせ!」

「ライチ、どうだった?」

「狩れたよ、ほら」

「お肉だ!」

「肉、肉、肉!」

「うさぎさん」


 他のメンバーが用意してくれた魔道コンロを設置して上に網を置く。


「それじゃあ、焼肉だぁ」

「わあああ」

「やったああ」


 みんなで魔道コンロを囲む。

 大きなウサギの肉の塊をナイフで手ごろな大きさに切って網に乗せていく。


 じゅうううう。

 じゅわあああ。


「ほい、ひっくり返す」


 ごくり。


「塩胡椒、ぱらぱら」


 うむ、いい感じだ。

 肉には焼き目がついて、とても美味しそうだ。


「いただきます」

「ライチ姉、いただきます」

「お姉ちゃん、いただきます!」


 みんなでお肉を取って食べる。


「おいち!」


 すぐに次のお肉を焼き始める。

 一匹丸ごとあるからね、みんなでお腹いっぱい食べようね。


 じゅあわあああ。


「ぱくぱく、美味しいです」

「うまうま」

「うま味」

「美味ですね」


 あっという間にホーンラビット一匹を食べ尽くしてしまった。


「「ごちそうさまでした」」

「ああ、またやろうな!」

「ライチ姉、うれしい」

「ほーい、んじゃまた」


 やっぱりお肉は最高だ。

 焼肉、肉串、それからシチュー、ステーキ、肉野菜炒め、すき焼き……。


 宿屋に戻ってぐっすり寝るのであった。


「おやすみ、また焼肉しようね」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1話あたり短め、不定期更新になります。

よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る