第41話

夏姉は、兄さんには、丁寧に言葉をならべる。そんなところも、私は好きだ。

「二人とも、まだ微熱あるから今日も寝せておくよね」

「もちろんよ。面倒みてくれる?」

「私がうつした風邪だもの、もちろんみるよ」夏姉と私が話している台所を気にしながら、リビングで、兄さんは新聞を読んでいた。

「お昼から、兄さんと二人で出掛けたいのよ、大丈夫?」と、少し遠慮がちに夏姉が私に言ってきた。

「大丈夫だよ、ごゆっくり」と即答した。なんとなく、そんな流れになるだろうと思っていたし……そして、きっと、今日二人は家には帰って来ない。明日の朝になるまでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

あんちゃんの奥さん @wanwanwan123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ