青い空は静かに消えゆく

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「空綺麗」

休日ダイヤ特快内。ロングシート。隣に座る子供がゲーム機を置いてそう言った。車窓を彩る夏空は透き通る薄花色で吸い込まれそうである。確かに綺麗だ。

しかし、子供が言葉を向けたであろう父親は隣でスマートフォンの操作を続けるだけ。何も、応えない。仕事か、それとも母親に万事万全である旨を伝えているのか、俺の知る由ではない。

電車は進み、遮音壁により空は消え、子供は再びゲームの有機パネルへと目を移した。赤の他人と親子二人。静かな時間が、流れていく。