第1話 孤高の『鉄面姫』京子ちゃん
俺(桂木 三月)の仕事を一言で言えば、不動産屋に近い…ただ顧客が公務員…警察機構に近いのでかなり特殊な業態と言える。
元々、本社からキャリアが始まった俺だが、横浜の土地勘が強かった俺は、横浜支店のメンバーと共に神奈川の現場に赴くことも多かった。
これは俺の社会人キャリア三年目、ストーカー事件の顛末から俺に対する悲しい依存症に陥ってしまった可愛い南ちゃんと袂を分けた…その後の春のお話だ。
(南ちゃんのストーカー事件)
https://kakuyomu.jp/works/16818093077722577817/episodes/16818093079345131146
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「……」
京子「……」
…うん、全く会話にならない。分かっていたけど社用車の中は延々とお通夜状態が続いていた。
今日の俺の仕事は横須賀衣笠の現場の支援。横浜支店で社用車を借りたは良いが、なんか金品移動の仕事があるとかで『
『
支店あるあるだけど採用不足をカバーすべく、入社一年目から経理と総務を兼任する優秀な女の子。
しかも…本社も含めて綺麗処で固めているはずの受付女性陣を凌ぐほどの整った容姿と余分なものが一切無いが如くの完璧なスレンダー体型…しかしながら玉に瑕と言うか残念の極みと言うか、愛想の無さが筋金入り。
会社の飲み会なんか参加ゼロ、無理やり参加させられた社内イベントの集合写真は必ず口元を覆って素顔をさらさない。
「(鉄面姫とは良く言ったもんだよ)」
ピンクのブラウスにグレー系タータンチェックのミニスカートの制服を艶やかに着こなす彼女の能面は今日も絶好調。
いや…俺との面識だって、なんだかんだでもう一年。
業態的に土日が仕事のピークで平日休みが多い俺たちの会社は、学生からの友人との付き合いが希薄になる分、社内同士は気の置けない関係になりやすい筈なんだけど。
衣笠の現場の前に彼女の仕事の本命先である上大岡の現場に寄って、
「(まあ間違いなくさっさと直帰をかますんだろうなあ)」
と思いつつ彼女が車に置いた荷物を取りに来るを待っていた。
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戻ってきた彼女が持っていた書類ファイルがあまりに不似合いだった。
だから思わず呟いちゃったんだよね。
「そのファイルって…劇場版『逆襲のシャア』で映画館特典になってたやつじゃね?」
京子「…なんで!先輩がそんなこと知っているんですかっ!?」
人が変わったみたいに俺の胸ぐらを掴んでくる彼女の必死の形相を傍目に、俺は「ああ…なんか久しぶりにこいつの生の声を聞いたなあ」とか考えていた。
鉄面姫とか呼ばれている美女の…隠れた
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