生米を食べてはいけません!

宮草はつか

第1話 生米好きのプロフィール

 みなさん、お米好きですか?


 日本人なら、毎日のように食べる主食ですよね。


 お弁当やパックご飯を買っている人もいるでしょうが、自炊をされているお宅では、置いてあると思います、白米。


 五キロや十キロの精米されたお米。買った袋のまま湿気の多い台所に置いておくと、あまりよろしくないって言いますよね。米びつに移したり、冷蔵庫に入れたりしている方もいるでしょう。


 お米の入った袋や容器。開けると、白い粒が詰まっています。私たちにとって馴染み深い粒々。中に手を入れてみると、乾いた粒の間にスッと指が入っていきます。まるで夏の美しい砂浜のよう。思わず手を軽く回して、粒を撫でまわして少し遊んでしまいます。


 片手を持ち上げて、粒をそっとすくい取ります。てのひらに乗る、小さなお米の丘。砂のように風で吹き飛ぶことはなく、ひとつひとつは小さくても確かな存在を感じます。


 この一粒一粒が、我々の大切な栄養になっているのですから。


 そんな感傷に浸りつつ、手にすくった小盛のお米を、おもむろに口へ――。


 バリッ、バリッ、バリッ。


 まだ炊いていない、生のお米。口内でお米の粒が転がり、手で撫でて遊んだ感覚が、今度は舌を通じで感じられます。とても硬いので、奥歯でゆっくりと嚙み砕きます。一粒、また一粒と、割れて、砕かれて、小さくなっていきます。


 噛むほどに、ほのかに感じるのは、お米の味。炊かれたご飯と似ているようだけれども、違う。甘いと形容するには程遠いけれども、かすかに感じるお米特有の味わい。


 魅惑の舌触り。

 極上の嚙み心地。

 絶妙な味わい。


 堪能しつつ、気づけば口内はもう空っぽ。


 ついもう一度、お米の袋に手が伸びて――。


「生米を食べてはいけません!」


 ……はい、すみません。


 みなさま、こんにちは、はじめまして。本エッセイをご覧くださり、ありがとうございます。


 私は宮草はつか。趣味はバードウォッチング。好物は生米です。


 子どもの頃から、米びつにあった生米をつまみ食いし始めて、今でも生米を常食しています。


 食事のあとにちょっと、仕事へ行く前にちょっと、仕事から帰ってきてちょっと、休憩中にちょっと、口が寂しくなったらちょっと。執筆中も、コーヒーをお供に、ならぬ、生米をお供にして書くことがよくあります。


 むしろ食べないと、調子が出ないですね。家には自分用に生米容器があって、お菓子を引き出しに隠すように、棚に隠してこっそり食べています。


 もちろん、家族に食べているところを見つかると怒られます。「また生米食べて! お腹壊すでしょ!」って。そうね。お腹を壊したら食べないんだけれども、お腹を壊さないから食べているんだよ。


 本エッセイでは、私の生米に対する飽くなき愛を語っていきたいと思います。


 なお、お米は炊いて食べるものであって、生米は一般的にそのまま食べるものではありません。健康への影響は未知数。たぶん栄養も取れないと思います。


 このエッセイは、生米を食べることを推奨しておりません。良い子は真似をしないでね。食べてお腹壊しても、責任は負いかねます。


 それでは次回、「オススメ! 生米の至福な食べ方!」でお会いしましょう。


 ……このエッセイは、


「生米を食べてはいけません!」




   続く(不定期更新)


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