第61話 その頃のA国 3

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#A国 ウィリアム


 三日目、またKの中間報告があり、大部分の国がリタイアしていないことが判明した。

 確かに、このレベルのサバイバルであれば、恐らくほとんどの国がしている軍人の参加であれば、特に問題はないだろう。

 例のボスモンスターという奴も、近づかなければ問題はなさそうなため、三日目最後の探索を開始する。


 「今日は、海岸線沿いを探索する。全員、海には近づきすぎないようにすること。行くぞ。」


 海岸線につくと、そこはビーチのようになっており、海水浴には最適そうに見えた。

 ライラがまたしても、「避暑地に~」とつぶやいているが、聞かなかったことにして、探索を開始する。


 だが、しばらく探索してもめぼしいものは見つからない。


 「このままでは、時間を浪費するだけか。別の場所を探索することにしよう。」


 そうして、撤収の準備を始めたころ、海から突然水しぶきが上がる。


 「なんだ!?全員、散開。異常を見つけたものは、即報告しろ!」


 アッシュが素早く状況を報告する。


 「ウィリアム。恐らくモンスターが海から二体出現。あれは、サハギンか?」


 サハギン?

 半魚人のことだろうか

 確かに、出現したモンスターは、胴体は人、顔は魚であり、手には銛のようなものを持っている。


 サハギンはこちらを見つけると、銛を構えながら突っ込んできた。

 どうみても友好的ではない。


 「全員。前方の敵をサハギンと呼称。敵性生物として認定する。各自、自分の身を最優先に応戦しろ。」


 サハギンは、こちらに対し二手に分かれるようだ。

 私、アッシュ、ディーン及びライラ、クリード、メイベルのトリオでそれぞれ対処する。


 サハギンに対峙すると、銛を突きこんできた。

 その突きはかなり鋭く、決して油断してよい相手ではないことを理解する。


 「だが、この程度なら、私達で十分対処可能だな。」


 私は、スキルの強度変化で自らを強化し、一気に攻勢に出る。

 サハギンは銛を突き出すが、私の体を貫くことはできず、逆に私のナイフがサハギンの肌を切り裂く。


 銛が効かないことを理解したのか、サハギンは何か呪文のようなものを口ずさむと、水の玉が空中に出現した。

 

 「あれは、魔法か?」


 水の玉は、勢いよくこちらに向かってきて、かなりの衝撃を伝えてきた。

 だが、所詮は水。

 強化された肉体には、直接的なダメージにはなっていない。


 そうして、私に抑えられたサハギンは、背後から迫っていたディーンのよって倒された。


 ライラたちの方を見ると、昨日の鬱憤を晴らすかのようにライラが一人でサハギンと立ち合っていたが、サハギンを圧倒していた。

 

 「いつ見ても凄いな。ライラの「剣舞」スキルは。」


 私は、ライラのスタータスを思い出す。


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■ステータス

プレイヤー名:ライラ・グレイ

所属:A国

称号:なし

LV:4


〇パラメータ

・HP:120

・MP:30

・ATK:17

・DEF:14

・AGI:17

・DEX:20

・INT:15

・RUK:8


〇スキル

<アクティブ>

・スラッシュ

・一ノ舞


<パッシブ>

・剣舞

・見切り


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・剣舞

消費MP:なし(パッシブ)

能力

剣を装備した戦闘に補正を与える(極大)


剣戦闘時は、「剣動作補正(極大)」、「ATK補正(大)」、「DEF補正(中)」、「AGI補正(大)」、「DEX補正(大)」を取得


また、熟練度によって、専用スキルを習得する。

・一ノ舞

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・一ノ舞

消費MP:任意

能力

周囲に複数の魔力の剣を生み出し、放射することができる剣舞保持者専用のスキル

生み出せる剣の強度、消費MP量は熟練度により変化する


生成数

MP1:剣2

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 ライラは終始、サハギンを圧倒して、戦いはそのまま決着した。


 「あまり歯応えが無いわね。」


 ライラがぼやいているが、お前が歯応えを感じる戦闘は、逆に勘弁してほしい。

 そうして、連戦連勝だったのが災いしたのだろうか、私達はそいつの兆候を見つけることができなかった。


 ”ザバーン”


 海から一際大きな水しぶきがあがり、先ほどのサハギンよりも大きな何かがその中にいるようだった。


 現れたのは、一際大きなサハギンであった。


 「ウィリアム。ここは退こう。あいつは他のモンスターとは違う気がする。」


 アッシュが進言してきて、私もすぐに了承して、撤退を合図する。

 だが、海岸からキャンプ地までの道には、いつの間にかサハギンたちがおり、撤退を妨害するように囲まれてしまっていた。


 「いつのまに・・。退路を断たれたか!」

 

 「おい。あいつはまさかボスモンスターなのか?リストにいたか、あんなやつ。」


 クリードが、あのサハギンの正体がリストにないかと確認してきたが、半魚人のボスモンスターはいなかった筈。

 

 「いや、あいつはボスモンスターではない。ただの強そうで、ちょっと賢いだけの普通のモンスターだ。」


 私のちょっとしたジョークによって、メンバーから少しだけ笑いを引き出す。

 緊張がほぐれたのを見計らい、作戦を通達する。



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