第56話 Day4 ガチャと新たな仲間

 「え~っと、なになに?従者は、ランクとLVがあって、更に種族によって成長速度が違うだと!?いや、考えることがありすぎるだろ!」


 説明書きには以下の要素について記載があった。


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■従者

・ランク:S~Iまで存在し、Sに近いほど強力な存在となる

・LV:存在の位階を表した数字 経験値を得ることで上昇し、一定値に達するとランクや時には種族が変化する個体も存在する

・種族:従者の種族 種族によって、ステータスの成長値、限界および速度に差が存在する

 亀、猿 :成長値(並)、成長速度(早)、限界(並)

 妖怪:成長値(高)、成長速度(遅)、限界(高)

 龍:成長値(高)、成長速度(最遅)、限界(最高)

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 「これは流石に、妖怪と龍一択だな。大器晩成型とはいえ、今後あんなボスモンスターと戦う機会があるのは間違いない。そうなると鍛える余地が大きい方が、相棒として助かるはずだ。」


 選択は決まった。

 そして、私は報酬を獲得した。

 ・龍に属する従者

 ・妖怪に属する従者


 「おっ!加賀見君、遂に決まったね!!それでは、お楽しみの従者ガチャタイムだ~」

 

 ガチャタイム?

 なんだそれは。


 いきなり、知らない単語を出されて困惑する私に奴は説明する。


 「ふっふっふ。今回、初の獲得だからね。僕が特別演出をしてあげるのさ!うれしいよね。」


 いや、違う違う、そうじゃない。


 「神よ。ガチャとは何ですか?そんな説明は記載がなかったのですが。」


 「加賀見君。ガチャはガチャだよ。従者の種族とかは選べるけど、実際どんな従者が登録されるのかは、ランダムなのさ!ピンからキリまで一通り揃えてるから、楽しみだね。」


 いやいや、ランダム選出なのかい。

 しかも、ピンはいいけど、キリは勘弁してくれ。

 

 私が混乱しているうちに、目の前にでかいカプセルトイが出てきた。

 レバーを回すと、カプセルが出てくるあれである。


 「よ~し。それじゃ、まずは龍の従者いってみよう~!あ~ら、ほいっと。」


 奴の掛け声で、レバーが回る。

 いや、お前が回すんかい!!


 「何が出るかな?何が出るかな?」


 奴が歌のようなものを、口ずさんでいると、黒いカプセルが出てきた。

 黒か、色によって当たり外れがあるのかは不明だが、良い従者来てくれ。

 そう祈ると同時に、カプセルが光り輝き、龍の従者の姿が顕わになった


 現れたのは、東洋の黒龍でまだ幼さを感じる姿かたちをしていた。

  

 「キュ~。」


 「これは、の雛か?随分と可愛らしいのが出てきたな。」


 全長は1mもなく、正直あまり強そうには見えない。

 ただ、その瞳がこちらを見る視線は輝きに満ちており、くりくりとした目に見つめられ、少なくとも癒しにはなりそうだから良いか。


 黒龍のステータスがみれるようなので、確認しようとしたら、何と奴が次のガチャを回し始めようとしている。

 ちょっと、勝手に進めすぎだろ。


 私はステータス確認を後回しにして、次の従者を迎える準備をする。


 「次は、妖怪だね!!レッツ、ガチャガチャ!!」


 こちらが、カプセルトイの前に立つと既にレバーは回り始めていた。


 「何が出るかな?何が出るかな?」


 奴は、相変わらず楽しそうだ。

 そして、またカプセルが出てきたが、今度も黒いカプセルである。


 先ほどの黒龍が所謂かどうか、ステータスを確認していないので、わかっておらず、この黒のカプセルを喜んでよいのかわからない。


 そうして、カプセルが輝くと妖怪の従者の姿が見えてきた。

 光の向こうに、人型のシルエットが見える。 


 「あの姿は、翼があるように見える。何の妖怪なんだ?」


 すると、シルエットが明らかになり、翼のある女性のような見た目であることが判明した。

 見た目は、十代後半から二十代前半くらいであり、背中には黒い翼、手には扇のようなものを持っている。


 まさか、彼女は天狗?

 でも、天狗にしては鼻が長くなく、至って我々人間の顔に近い。

 正統派のクール系美人といった面立ちであった。

 そう彼女の正体を模索していると、黙っている私を不安に思ったのか、あちらから声を掛けられる。


 「ふむ。貴方が、私の主ですかな?」


 思わず、惜しい!!というところだった。

 危ない、いろんな意味で危ない。


 いや、そんなことを思っている場合じゃない。

 私は、内心の動揺を表に出さないように、彼女に返答する。

 

 「ああ。恐らく君を呼び出したのは私になるよ。」


 すると、彼女は安心したように自らの名前を告げる。

 

 「私のことは、雫と呼んでくれればよい。見ての通り、天狗が私の種族。まだ、一番下の位階である小天狗ではあるが、実力はあると自負しておりますぞ。これからよろしく頼む、我が主。」


 「雫か、良い名前だね。私は加賀見と言う。これからは仲間として、共に戦って・・、戦えるのかな?」


 私が、雛のような黒龍と見かけは可憐な女性の雫を見ながらこぼすと、一体と一名は勢いよくこちらに近寄ってきて、アピールを始める。

  

 「キュー。キュッ!!」


 「私は小天狗ですが、戦いには自信がありますぞ。こちらの黒龍殿もそう申しているではありませんか。主、我々のステータスを確認してみてくだされ。そうすれば、自ずとわかるはずです。」


 この反応をみると、雫は思ったより強さへのこだわりが強そうだ。


 「それは、すまなかった。それにしても、雫は黒龍の言葉が分かるのか?」


 「いえ、正確な意味まではわかりかねますが、何となくニュアンスは伝わるといった感じですね。」


 ニュアンスか、私も黒龍とコミュニケーションをとれるようにならないとな。

 そんなことを考えてながら、それぞれのステータスを確認する。


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■ステータス

名称 :黒龍 ※名称未設定

使役者:加賀見 景

称号:黒龍(雛)

LV:1

ランク:H


〇パラメータ

・HP:120

・MP:20

・ATK:18

・DEF:12

・AGI:10

・DEX:10

・INT:15

・RUK:10


〇スキル 

<アクティブ>

・黒(炎・水)

・龍爪

・逆鱗


<パッシブ>

・飛行

・龍眼

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・黒(炎・水)

消費MP:3

能力

黒い炎と水を操るスキル

通常の炎とは異なり、燃やすというよりも魔法的なダメージを与える効果をもつ

操れる炎、水の威力、質は熟練度により変化する

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・龍爪

消費MP:2

能力

龍の爪のような形状の衝撃波を飛ばすスキル

技の威力は熟練度により変化する

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・逆鱗

消費MP:不明

能力

能力、発動条件不明

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・飛行

消費MP:なし(パッシブ)

能力

飛行できる

熟練度によって、飛行速度、滞空時間が変化する

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・龍眼

消費MP:なし(パッシブ)

能力

魔力を含めた、あらゆる力の流れを視ることができる

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 「ステータスの値、そして初期スキルも攻撃面にかなり強い。流石は龍といった感じだな。それに、名称未設定って、まさか私が付けるのか?」


 そう言った途端、黒龍が嬉しそうに鳴きながら、周囲をぐるぐると回る。

 

 「主。黒龍の雛はかなり喜んでいるようです。これは、もう決めてあげるしかありませんね。」

 

 雫が若干笑いながら、教えてくれるが、これくらいなら私でもわかる。

 仕方がないので、考えるがいい案が浮かばない。

 うーむ、そもそも性別はどっちだ?そもそもあるのか?


 「なあ、お前の性別はあるのか?」


 「きゅー?きゅっ!」


 まずい、わからん。

 それを見かねた雫が助け舟を出してくれた。


 「男の子みたいですよ。そう言っています、主。」


 雄か。

 黒くて、川のように長い体躯、和名じゃなくもいいな。

 確か古いゲール語の「暗い川」という意味でダグラスという言葉があったな。


 「うーん。って名前はどうだ?外国の黒に近い川っていう意味からとったんだが。」


 そういうと、黒龍は大喜びで首をぶんぶんと縦に振っていた。

 どうやら気に入ってくれたようだ。


 ステータスをみると、名前の欄に「ダグ」という記載があり、一安心する。


 「さて、次は雫のステータスを確認するか。」


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