第55話 Day4 クリア報酬

 「やあ、加賀見君!!おつかれ!!」


 目の前は、いつもの白い空間であり、奴の声がどこかから聞こえる。

 なんかもう慣れてしまった光景に、若干無感動に回答する。

 

 「おはようございます。神よ。今回も貴方が説明をいただけるのでしょうか?」


 すると、奴は無感動な反応の私にかまうことなく、興奮した様子で話し始めた。


 「いや~。加賀見君。君やっちゃうね!まさかボスモンスターを倒すなんてさ!!しかも、二体だよ!!二体!!!」


 奴のはしゃぎようは、ちょっと異常だったが、それほどボスモンスターを倒してしまうことは驚愕のことなのかもしれない。


 まあ、それも当然か。

 私の漁夫の利作戦によって、二体のボスはそれぞれ瀕死レベルにまで追い詰められていたが、それでも本当にギリギリの戦いだった。

 

 もし、片方一体だけだとしても、万全のボスモンスターに勝利しようとするならば、他の国のメンバーも複数集まった上でのレイドのような戦いが必要だったと思う。


 いや、それでも勝てるとは言い切れないし、なまじ勝利できても、少なくとも甚大な被害が発生していた。

 そう思わせるほどに、圧倒的な強さだった。


 「残念ながら、経験値は戦闘の貢献度によって増減するから、加賀見君にはあんまり入っていないけど、それでも止めをさしているからね。うんうん、そこそこの経験値は入っているし、なにより、特別報酬をそれぞれGETできるよ!!すごいね!」


 奴はまた重要な情報をぽろっと言ったな。

 経験値は戦闘の貢献度によるのか。


 龍亀を倒したときの経験値が思ったより少なかったのは、ダメージのほとんど猿神との戦いだったからということだと納得した。


 「それじゃあ。お楽しみのクリア報酬の付与になるよ!!あら、ほいっと」


 気の抜けるような掛け声とともに、ステータス画面のような報酬一覧が出てきた。

 

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■報酬一覧

クリア等級:最上級 ※参加メンバーの全員生存


1.個人ポイントの獲得

 ・ポイント:100,000を付与


2.ゲームクリア時の各種条件達成による追加報酬

 〇参加メンバーの生存数:6 クリア

  ・適性の有る技スキルを1つ付与

   スキル:「突進」の獲得


 〇モンスター討伐数をチームで三十体以上達成 クリア

  ・以下アイテムを獲得

   「体力、魔力ポーションセット(中)」の獲得


 〇初期配置が全員バラバラ達成 クリア

  ・適性の有る系統スキルを1つ付与

   スキル:「魔力視」の獲得


 ★特殊条件:ボスモンスター 討伐 クリア

  スキル:「従者」の獲得

 

 ★特殊条件:亀万年、龍億年の長寿の化け物(龍亀)討伐 クリア

  スキル:「龍甲」の獲得

  スキル:「魔法(水)」の獲得

 

  以下の選択肢から一つ選び、スキル「従者」に登録する

  ・龍に属する従者

  ・亀に属する従者


 ★特殊条件:猿の戯れ、神の宴に集う化け物(猿神)討伐 クリア

  スキル:「疾風」の獲得

  スキル:「金剛力」の獲得


  以下の選択肢から一つ選び、スキル「従者」に登録する

  ・妖怪に属する従者

  ・猿に属する従者


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 「また、大量だな。それに、何か悩まされるような報酬もあるぞ。」


 選択する報酬は後回しとして、獲得したスキルを確認する。


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・突進

消費MP:1

能力

直線的に素早く移動するスキル

向かう方向は、スキル発動時に決定する

途中での方向転換はできないが、再度スキルを発動することは可能

移動速度は、熟練度によって変化する

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・魔力視

消費MP:なし(パッシブ)

能力

魔力を視覚で見ることができるようになるスキル

視覚のON、OFF、強弱は調整可能

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 「シンプルな効果だが、「突進」は中々使いやすそうだ。「魔力視」はイマイチどこで使用するのかわからないスキルだな。」


 ひとまず、「魔力視」をONにしてみると、視界が派手な色で埋め尽くされてしまい、慌ててOFFにする。

 その様子を見ていた奴が、笑いをこらえきれない様子でからかってきた。


 「加賀見君。魔力視を使ったのかなwここは僕の空間、魔力に溢れてるから、そんなのつかったら大変だよ。ぷぷぷっ。」


 奴の言葉にイラっとするが、スキルを軽率に使用したことも事実のため、ぐっと堪えた。

 気を取り直して、ボスモンスタークリア報酬を確認していく。


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・龍甲

消費MP:5

能力

体の表面に龍の鱗を模したような膜を発生させるスキル

この状態は、物理、魔法双方の攻撃に対して高い耐性を得る

持続時間、上昇幅は熟練度によって変化する(初期は三分)

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・魔法(水)

消費MP:任意

能力

水系統の魔法が使用可能

使用できる魔法は、使用者のイメージによって形成される

イメージの強度は、消費するMP量と熟練度によって変化する

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 「ここまでで、龍亀の特別報酬のスキルか。念願の防御スキルに、水系統の魔法は、戦略の幅が広がりそうで、良いスキルだ。」

 私は、棚ぼたで手に入れたスキルが非常に良かったため、満足し、次の猿神の特別報酬を確認していく。


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・疾風

消費MP:5

能力

一時的にAGI系統のステータスを大幅に上昇させるスキル

この状態は、移動速度、反射速度、思考速度といった素早く動くための各種能力が上昇する効果を得る

持続時間、上昇幅は熟練度によって変化する(初期は三分)

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・金剛力

消費MP:なし(パッシブ)

能力

自身のATKを三割増加させる

ステータスの()の数字がスキル適用後の数値

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 「猿神のスキルは、瞬間的な速度の上昇とステータスの恒常的な増加か。上昇幅もかなりあるし、こっちも大分当たりだ。」


 獲得するスキルが軒並み強力すぎて、正直食傷気味ではあるが、まだメインのスキルが残っている。

 私は、恐る恐る選択肢の有る報酬および関連するであろう「従者」スキルを確認し、その内容に驚愕した。


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・従者

消費MP:最大MPのx割

能力

登録された従者を呼び出し使役するスキル

使役できる従者は、何らかの方法で登録する必要がある


従者使役中は以下のデメリットを得る ※xは呼び出している従者数

・MP:最大MPのx割が常に使用(ロック)状態となり、回復しない

・経験値の獲得総量:1/(x+1)

・獲得経験値が従者にも分配される


従者一覧

・登録なし

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 「だと!?名前から何となく推測はできていたが、ガチのチートスキルが来てしまったのか?」


 勿論、従者の強さはまだわからないが、もしも戦闘に参加できるのだとしたら、その価値は計り知れない。

 単純な人数増加だけでも強力だし、何よりスキルの効果である以上、最低でもこちらを裏切ることはない仲間というのは、この先のダンジョン攻略を考えても破格の効果と言える。

 デメリットの最大MPのロックと、経験値の減少はそれなりに痛手ではあるが、それを差し引いても、圧倒的にお釣りがくる内容だと感じた。

 となると、どんな従者を仲間にできるかが、非常に重要。


 「選択肢のどの従者を選択するか。それが問題だ。」


 私は、各従者の説明を詳細に確認することにし、目を皿のようにして説明文を見ていく。


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